[OD301-03] 院内トリアージにおける現状調査
Keywords:トリアージ、救急外来
【はじめに】A病院救急外来を受診するwalk-in患者には、トリアージナースが緊急度判定支援システムJTAS2017(以下JTASとする)に準じた緊急度判定を実施している。緊急度はレベルⅠ~Ⅴの5段階に、看護師が患者に接触出来なかった場合など、様々な理由により緊急度判定が出来なかった「トリアージできず」を加えた計6段階に分類している。A病院で行われた先行研究では、トリアージナースが判断した緊急度が実際よりも低く判定されるアンダートリアージ症例が全体の29%、トリアージできず症例が全体の21%であったと報告している。そのためJTASレベル早見表の作成や、救急外来受付との協同等により、これらの症例は減少傾向にあるが、現在もアンダートリアージやトリアージできず症例は発生している。今回、更なる改善策を講じるべく、それぞれの背景要因について明らかにするため調査を行った。
【目的】院内トリアージの質向上のため、アンダートリアージやトリアージできず症例の背景要因を明らかにする。
【方法】2019年5月~2019年6月までの2ヶ月間に、救急外来を受診した患者の情報用紙から来院時間・来院時主訴(JTASに準じて計17カテゴリーに分類)・緊急度を抽出し、Excelを用いてデータベースを作成する。来院時間・来院時主訴別の症例数とアンダートリアージ・トリアージできず症例数の相関についてはSpearmanの順位相関係数を算出し、p値<0.05を有意差ありとした。
【倫理的配慮】本調査で作成したデータベースに含まれる情報は匿名化しており、公表に当たっては数値化し個人が特定されないよう配慮した。本調査の実施については、A病院の倫理審査委員会で承認された。(No一般2019-189)
【結果】調査期間内に来院した患者総数は827名であり、アンダートリアージ43件(患者総数のうち5%)、トリアージできず73件(同9%)だった。患者来院時間帯別では、1時間毎の来院患者数は17時台~21時台で多く、各時間帯の来院患者数とアンダートリアージ件数の間には、有意な正の相関が認められた(r=0.66 p<0.001)。同様に来院患者数総数とトリアージできず件数の間にも、有意な正の相関が認められた(r=0.61 p<0.01)。患者主訴別では、アンダートリアージが多い主訴は薬物乱用で、トリアージできずと判定される割合が多い主訴は薬物乱用、メンタルの主訴であった。
【考察】救急外来は緊急度や重症度を問わず、複数の患者が同時に来院することが多い。来院患者数が多い時間帯と、アンダートリアージ件数・トリアージできず件数の間には正の相関関係があることがわかった。とくに混雑時は、実際に緊急度の高い患者が低く判定されるだけでなく、緊急度の低い患者が高く判定されるといったドリフト現象も生じやすい。混雑している救急外来では問診やフィジカルアセスメントをするための十分な時間確保が出来ず、結果として正確な緊急度判定が出来なかった症例が増えたと推測する。主訴別のアンダートリアージとトリアージできずの上位には薬物乱用などの精神的問題が影響する病態が含まれていた。来院時正常なバイタルサインを示す患者でも、希死念慮を抱く患者には具体的な計画性の有無や、安全が確保できるかどうかの評価も緊急度に大きく影響する。フィジカルアセスメントを短時間で行い記録する訓練や、主訴毎に聴取すべき病歴や訴えなどをチェックリスト化することで、より適切な緊急度判定が行える可能性がある。
【目的】院内トリアージの質向上のため、アンダートリアージやトリアージできず症例の背景要因を明らかにする。
【方法】2019年5月~2019年6月までの2ヶ月間に、救急外来を受診した患者の情報用紙から来院時間・来院時主訴(JTASに準じて計17カテゴリーに分類)・緊急度を抽出し、Excelを用いてデータベースを作成する。来院時間・来院時主訴別の症例数とアンダートリアージ・トリアージできず症例数の相関についてはSpearmanの順位相関係数を算出し、p値<0.05を有意差ありとした。
【倫理的配慮】本調査で作成したデータベースに含まれる情報は匿名化しており、公表に当たっては数値化し個人が特定されないよう配慮した。本調査の実施については、A病院の倫理審査委員会で承認された。(No一般2019-189)
【結果】調査期間内に来院した患者総数は827名であり、アンダートリアージ43件(患者総数のうち5%)、トリアージできず73件(同9%)だった。患者来院時間帯別では、1時間毎の来院患者数は17時台~21時台で多く、各時間帯の来院患者数とアンダートリアージ件数の間には、有意な正の相関が認められた(r=0.66 p<0.001)。同様に来院患者数総数とトリアージできず件数の間にも、有意な正の相関が認められた(r=0.61 p<0.01)。患者主訴別では、アンダートリアージが多い主訴は薬物乱用で、トリアージできずと判定される割合が多い主訴は薬物乱用、メンタルの主訴であった。
【考察】救急外来は緊急度や重症度を問わず、複数の患者が同時に来院することが多い。来院患者数が多い時間帯と、アンダートリアージ件数・トリアージできず件数の間には正の相関関係があることがわかった。とくに混雑時は、実際に緊急度の高い患者が低く判定されるだけでなく、緊急度の低い患者が高く判定されるといったドリフト現象も生じやすい。混雑している救急外来では問診やフィジカルアセスメントをするための十分な時間確保が出来ず、結果として正確な緊急度判定が出来なかった症例が増えたと推測する。主訴別のアンダートリアージとトリアージできずの上位には薬物乱用などの精神的問題が影響する病態が含まれていた。来院時正常なバイタルサインを示す患者でも、希死念慮を抱く患者には具体的な計画性の有無や、安全が確保できるかどうかの評価も緊急度に大きく影響する。フィジカルアセスメントを短時間で行い記録する訓練や、主訴毎に聴取すべき病歴や訴えなどをチェックリスト化することで、より適切な緊急度判定が行える可能性がある。