第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 3.トリアージ①

[OD301] 3.トリアージ①

[OD301-04] 院内トリアージ教育における段階的教育を導入した結果と課題について

○田代 梨恵子1、今西 佳代1 (1. 岐阜市民病院 救急診療部)

Keywords:トリアージ、トリアージ教育、段階的教育、ロールプレイ

【はじめに】A病院ではJTAS(Japan Triage and Acuity Scale: 緊急度判定支援システム)2017を基準とし院内トリアージを行っている。勉強会を定期開催していたが現場のJTAS活用率は低く、批判的思考や臨床推論に基づき、明確な根拠のある緊急度判定を行うまでには至っていない。そこで今回、救急看護学会トリアージインストラクターコースで行われた教育課程を参考に全課程教育(基礎編・プロセス編・実践編)の年間スケジュールを立て、教育を進めた。
【目的】段階的に教育を進め院内トリアージの質の向上と今後の課題を明確にする。
【方法】研究デザイン:調査研究 対象:A病院救急外来看護師23名 期間:2021年4月から2021年6月 データー収集方法:全課程教育前後アンケート調査(多項選択法・自由回答)実施 データー分析方法:アンケート結果は単純集計し、記載された理由に関して分析する
【倫理的配慮】A病院倫理審査委員会の承認を得た
【結果】A病院救急外来看護師19名に全課程教育前アンケート実施、回収率は95%①JTAS活用方法は知っているか「はい」100%②トリアージプロセスは理解できているか「はい」67%「いいえ」0%「どちらでもない」28%未回答1名③主訴や第一印象で疾患を想起しているか「はい」83%「いいえ」0%「どちらでもない」17%④想起した疾患を否定する問診は行えているか「はい」56%「いいえ」0%「どちらでもない」44%⑤想起した疾患を肯定するフィジカルはとれているか「はい」28%「いいえ」16%「どちらでもない」56%⑥SBARの意味はわかるか「はい」50%「いいえ」17%「聞いたことがある程度」33%⑦トリアージに臨床推論は必要か「はい」89%「いいえ」0%「どちらでもない」11%⑧トリアージに不安はあるか「はい」67%「いいえ」5%「どちらでもない」28%であった。全課程教育終了後アンケートを看護師13名に実施、回収率は92%であった。①想起した疾患を否定する問診は難しいか「はい」25%「いいえ」25%「どちらでもない」42%未回答1名 ②想起した疾患を肯定するフィジカルは必要か「はい」92%「いいえ」0%「どちらでもない」0%未回答1名③SBARは今後活用可能か「はい」83%「いいえ」0%「どちらでもない」17%④トリアージに臨床推論は必要か「はい」92%「いいえ」0%「どちらでもない」8%⑤ロールプレイで学べたか「はい」100%⑥継続的にロールプレイ学習したいか「はい」92%「いいえ」0%「どちらでもない」8%⑦全課程教育は現場で役立ったか「はい」92%「いいえ」0%「どちらでもない」8%⑧不安は軽減したか「はい」83%「いいえ」0%「どちらでもない」17%という結果であった。
【考察】教育前アンケートではJTASの仕組みや機序について90%以上活用できていると回答した。「基礎編・プロセス編」での段階的教育が理解度を深め基盤ができたと考える。教育後アンケートで全員がロールプレイで学びがあったと回答した。改めて系統立て振り返ることができたことや自身に不足していた部分を知ることで学びにつながったと考える。また、全課程教育は現場のトリアージに役立つと92%が回答した。段階的教育方法が有用であったと考える。今後は教育を継続していくためにトリアージナースの育成を視野に入れ、質の向上に努めていく必要がある。【結論】1段階的な教育は理解度に合わせて進めることができ有効的であった2ロールプレイ教育は振り返りと自己課題を抽出できた3院内トリアージナースの育成を行い、質の向上を図る必要がある。