第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 3.トリアージ②

[OD302] 3.トリアージ②

[OD302-05] 救急センター看護師の電話対応への取り組み〜時間外の電話対応マニュアル作成と導入の効果〜

○増川 美智子1、小島 朗2、石井 裕也1 (1. 一般財団法人 大原記念財団 大原綜合病院 HCU・救急センター、2. 一般財団法人 大原記念財団 大原綜合病院 看護部)

Keywords:トリアージ、時間外電話対応

【はじめに】
救急センター看護師は、救急車の受け入れだけでなく、時間外の患者や家族からの受診・診療相談を受けている。当院は2次救急指定病院であり、夜間限られた医療資源(医師、看護師)の中で、多くの患者に対応しなければならない。
 当院の現状として看護師は、電話の内容から症状を聞き応急処置や来院方法の指導を行っている。これらの電話対応により救急患者の対応を中断せざるを得ない事象も発生している。椎葉ら(2003)は、救急における電話対応に対して「電話に関する業務量が32%を占め、そこにいる患者にとって背を向ける行為となっている」と述べている。当院では、具体的なマニュアルやプロトコールがないため、個人の経験や技術に頼っている。実態調査の結果から、対応に個人差があり標準化の必要性を感じた。時間外電話対応について看護師が対応する必要性について電話内容により「受診相談」「診療相談」「問い合わせ」に振り分けを行い、対策を立て取り組んだのでここに報告する。

【目的】
業務の標準化により時間外における電話対応時間が短縮する

【方法】
1、期間 令和2年9月18日から令和2年12月22日
2、データ収集:実態調査を行い、時間外電話対応時間と内容を把握する
  データ分析:エクセルにて単純集計
  時間外電話対応マニュアルを作成する
  マニュアル作成後、再度時間外電話対応時間と内容の実態調査を行う

【倫理的配慮】
当院研究倫理委員会にて承諾を得た

【結果】
作成した救急電話対応マニュアルにて、振り分けしたことにより、事務対応と看護師対応を分けることができ、看護師の対応件数が23%減少した。電話での緊急度判定は、白川(2019)(編)「救急看護 電話でトリアージ すぐ使える問診表31」を参照し来院方法を指導した。更に、以前は時間外勤務の5名のスタッフが対応していた電話対応を2名に絞り、救急患者を優先するようにした。電話対応の目標時間を5分以内に設定し、時間管理の強化を行った。しかし、時間外電話対応時間は、平均的に5.8分から7.3分と延長した。

【考察】
救急患者対応を優先するため電話対応は5分以内で終了するという目標時間を設定したことにより、時間管理の意識付けができたが、時間の延長が見られた原因としては、看護師が電話対応する必要性がある患者・家族対応のために時間が延長した可能性も考えられる。マニュアルの効果は、指標になるツールができることで、今後の救急対応を可視化でき、評価が可能になると考える。総務省消防庁は「令和3年度 救急業務のあり方に関する検討会」が発足及び開催され「救急業務の円滑な実施と質の向上」等について検討予定である。このことから、質の向上が救急医療の喫緊の課題とも言える。
 電話対応により救急患者対応の中断が減ることで看護に専念でき、看護ケアの質が向上する可能性が高いと考える。