[OD303-05] 非接触での院内トリアージの安全性~ペット用ドアを活用したウォークインCOVID-19疑似症患者対応~
Keywords:院内トリアージ、COVID-19、救急外来
【はじめに】A病院は医療圏唯一の救命救急センターで、2020年度救急外来受診者数は13000名で約70%がウォークイン患者である。ウォークインのCOVID-19感染症疑似症患者(以下コロナ疑似症)に対する感染対策として、隔離室待合のドアに市販のペット用ドアを設置した。これにより非接触での受診会計手続きと院内トリアージが可能となり、当時不足していたPPEの大幅節約やスタッフの感染リスク低減、さらには看護業務の大幅な負担軽減に成功した。今回は、このコロナ疑似症に対する非接触での院内トリアージシステム(以下新システム)の安全性を検証したのでここに報告する。
【用語の解説】1.ペット用ドア:猫や犬などが自由に通り抜けられるドアと窓がついた市販の製品。引き戸に挟むだけで簡単に設置できる。A病院では救急外来から隔離待合に入るドアに設置し、アクリル窓越しの患者観察や事務手続き、書類や処方薬をドア部分から渡すことができる。2.院内トリアージシステム:A病院では、JTASを基にした独自の3段階(赤・黄・緑)院内トリアージシステムを運用している。
【研究目的】A病院救急外来のコロナ疑似症に対する院内トリアージシステムの安全性を検証する。
【研究方法】1.2020年12月のコロナ疑似症に対する院内トリアージ件数と実施率、トリアージ結果と来院からトリアージまでの時間、アンダートリアージと診察までの待機時間の急変事例の件数を調査する。2.上記のうち非接触でトリアージが完了した件数を調査する。
【倫理的配慮】研究に使用したデータは個人が特定できないように匿名化し、A病院看護研究倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】1.2020年12月にトリアージしたコロナ疑似症は76名で赤(緊急群)0名、黄(準緊急群)13名、緑(低緊急群)63名であった。来院後すぐにトリアージを施行でき実施率は100%、診察までの待機中の急変、アンダートリアージ症例はなかった。2.緑(低緊急群)63名、黄(準緊急)8名が非接触でトリアージが完了した。
【考察】COVID-19対策開始当初は、看護師がPPEを装着し自家用車内で待機するコロナ疑似症のトリアージを行っていたが、使い回しのPPE着脱や自家用車内でのトリアージ、さらには受付業務代行など、看護師の業務負担と感染リスクが大きかった。来院からトリアージまでに15分以上かかる事や、トリアージ未実施のままの長時間待機となる等安全性に問題があり、本格流行時の多数患者来院に対応困難となる危険性があった。しかしこの新システム導入により、調査期間内に来院した76名全員に来院後すぐにトリアージが実施され、流行期の多数患者来院に対応することができた。また、新システムではトリアージ判断に観察窓が有用であり、情報が不十分な場合にはPPE装着下での対面トリアージや、オーバートリアージとするなどの工夫もみられ、アンダートリアージや診察までの待機時間の急変事例はなかった。このことから、非接触による患者への悪影響は低く、多数患者来院にも対応可能であったことから患者側の安全性は向上したと考えられる。また、コロナ疑似症の多くは緑(低緊急)であり、観察窓やナースコールを活用するなどの環境を整えることで、71名(92%)の患者に非接触でトリアージを完結させることができた。これにより、看護師のPPE装着や患者接触の回数が大幅に減ったことから感染リスクが低減し看護師側の安全性も向上した。
【結論】ペット用ドアを活用した非接触での院内トリアージシステム導入により、COVID-19疑似症患者対応における患者・看護師双方の安全性を向上させることできた。
【用語の解説】1.ペット用ドア:猫や犬などが自由に通り抜けられるドアと窓がついた市販の製品。引き戸に挟むだけで簡単に設置できる。A病院では救急外来から隔離待合に入るドアに設置し、アクリル窓越しの患者観察や事務手続き、書類や処方薬をドア部分から渡すことができる。2.院内トリアージシステム:A病院では、JTASを基にした独自の3段階(赤・黄・緑)院内トリアージシステムを運用している。
【研究目的】A病院救急外来のコロナ疑似症に対する院内トリアージシステムの安全性を検証する。
【研究方法】1.2020年12月のコロナ疑似症に対する院内トリアージ件数と実施率、トリアージ結果と来院からトリアージまでの時間、アンダートリアージと診察までの待機時間の急変事例の件数を調査する。2.上記のうち非接触でトリアージが完了した件数を調査する。
【倫理的配慮】研究に使用したデータは個人が特定できないように匿名化し、A病院看護研究倫理審査委員会の承認を得た。
【結果】1.2020年12月にトリアージしたコロナ疑似症は76名で赤(緊急群)0名、黄(準緊急群)13名、緑(低緊急群)63名であった。来院後すぐにトリアージを施行でき実施率は100%、診察までの待機中の急変、アンダートリアージ症例はなかった。2.緑(低緊急群)63名、黄(準緊急)8名が非接触でトリアージが完了した。
【考察】COVID-19対策開始当初は、看護師がPPEを装着し自家用車内で待機するコロナ疑似症のトリアージを行っていたが、使い回しのPPE着脱や自家用車内でのトリアージ、さらには受付業務代行など、看護師の業務負担と感染リスクが大きかった。来院からトリアージまでに15分以上かかる事や、トリアージ未実施のままの長時間待機となる等安全性に問題があり、本格流行時の多数患者来院に対応困難となる危険性があった。しかしこの新システム導入により、調査期間内に来院した76名全員に来院後すぐにトリアージが実施され、流行期の多数患者来院に対応することができた。また、新システムではトリアージ判断に観察窓が有用であり、情報が不十分な場合にはPPE装着下での対面トリアージや、オーバートリアージとするなどの工夫もみられ、アンダートリアージや診察までの待機時間の急変事例はなかった。このことから、非接触による患者への悪影響は低く、多数患者来院にも対応可能であったことから患者側の安全性は向上したと考えられる。また、コロナ疑似症の多くは緑(低緊急)であり、観察窓やナースコールを活用するなどの環境を整えることで、71名(92%)の患者に非接触でトリアージを完結させることができた。これにより、看護師のPPE装着や患者接触の回数が大幅に減ったことから感染リスクが低減し看護師側の安全性も向上した。
【結論】ペット用ドアを活用した非接触での院内トリアージシステム導入により、COVID-19疑似症患者対応における患者・看護師双方の安全性を向上させることできた。