第23回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

オンデマンド配信講演

第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 4.災害看護・終末期医療

[OD401] 4.災害看護.終末期医療

[OD401-01] 救急外来看護師の災害初期対応に対する実態調査
~備えに対し強化を必要とするカテゴリーを明らかにする~

○小俣 聖子1 (1. 仙台市立病院救急外来)

Keywords:災害初期対応、トリアージ、原則

<目的>
A病院は災害拠点として重要な役割を担っており、院内災害マニュアルの見直しやDMAT隊員の育成、年1回の大規模災害を想定した訓練を行い突然の非常事態に備えている。救急外来看護師が災害初期対応に関する知識や興味、関心をどのくらい持っているのかアンケートと院内マニュアルや災害初期対応のテストを行い、DMAT隊員看護師と比較し調査し災害初期対応の備えの強化が必要なカテゴリーを明らかにする。
<研究方法>
対象は救急外来看護師(以下A群)25名とDMAT隊員看護師(以下B群)12名。テストは院内マニュアルや災害初期対応研修会資料に基づき作成した独自のテストを使用。災害看護、CSCATTT、トリアージタグ装着部位、災害トリアージの特色、要配慮者からなる「原則」と参集方法や物品の場所を問う「院内マニュアル」、START法とPAT法を使用する「一次・二次トリアージ症例」のカテゴリーそれぞれの得点をマンホイットニーのU検定を用いて比較した。
<倫理的配慮>
看護部の承認を得たのち、対象者へ研究協力は個人の自由であり、いつでも中断できることを書面で説明し倫理的配慮を十分に行った。
<結果>
B群がA群より平均点が高く、標準偏差が小さかった。またA群とB群との比較ではテスト内容の「原則」と「一次トリアージ症例」で有意差が認められ、A群が「原則」の中でもCSCATTTの得点が低いことが分かった。
<考察>
有意差が認められた災害医療の7つの要素であるCSCATTT(C:災害現場の指揮 S:安全性 C:情報の共有化 A:状況判断 T:トリアージ T:応急処置 T:搬送)の考え方は急性期の災害医療において原則であるが、災害研修以外では触れることが少ないワードである。そのため、今後はCSCATTTの意味を知り災害時にどのような行動をとるべきか理解し知識を高めるための機会を作る必要があると考える。また、「一次トリアージ症例」ではどのトリアージ方法を使用するかの認識が乏しく通常、救急外来で使用しているJTASに近いトリアージの考え方を用いたと考えられる。START法は一次トリアージに使用される多数の傷病者を短時間で生理学的所見から重症度を大きく篩い分けるもので、PAT法は一次トリアージで大きくふるい分けられた患者を解剖学的所見と合わせて評価し、緊急度の高い患者から治療の優先順位を決定するものである。医療資源と傷病者のバランスが崩れる災害現場では必要になってくる知識であるが災害現場でその都度START法を説明しながらトリアージを行うことは現実的ではない。しかし災害に対する「備え」としてトリアージを担当する可能性が高い救急外来看護師はSTART法の必要性を理解し、行動に移せるようにする必要がある。これらのことから災害初期対応に対する「原則」を中心にトリアージ方法を学ぶことで備えの強化につながると考えた。いつ発生するか分からない災害ではあるが、病院の看護現場では災害初期対応の知識は必須である。DMATが救急外来看護師へ講義やシミュレーションなど部署内での学習機会を増やすことがひつようである。また実際に災害の現場でトリアージを行う際に確認しながら実施できるようにSTART法と緊急性の高い患者から治療の優先順位を決めるPAT法の評価項目を記載したカード作成し院内災害訓練で使用し評価したいと考える。