[OD501-01] 高度管理医療機器装着中の患者の早期リハビリテーション実施を阻害する看護師の心理的要因
Keywords:高度管理医療機器、早期リハビリテーション、阻害要因
【目的】
救命救急センターにおいて、高度管理医療機器装着中の患者の早期リハビリテーションの実施を阻害する看護師の心理的要因を明らかにする。
【方法】
1.対象者:救命救急センターに勤務する、経験年数の構成割合に基づき層化無作為抽出した看護師10名
2.データ収集期間:2019年12月~2020年1月
3.データ収集方法:半構造的インタビュー(個室で一人30分程度で実施)
4.インタビュー内容:
①早期リハビリテーション実施前・実施中・実施後の時期で心理状態に違いはあるのか
②高度管理医療機器の種類の違いで心理状態に違いはあるのか
③看護師の背景
5.データ分析方法:得られたインタビュー内容を録音したICレコーダーから遂語録を作成した。そしてデータをコード化、
ラベルを抽出しカテゴリーを生成した。カテゴリーの関連性から実態を導き出した。
6.用語の定義:高度管理医療機器とは、日本医療機器産業連合会が示す医療機器クラス分類Ⅲ・Ⅳの機器を指す。
【倫理的配慮】
日本大学病院看護部研究審査委員会の承認を受け実施し、プライバシー保護を厳守した。
【結果】
看護師の背景は、看護師平均経験年数8.6年、救急領域での平均経験年数6.2年、早期リハビリテーション平均実施数5.2回/月であった。インタビュー結果から、54個のラベルを抽出でき、7個のカテゴリーが生成された。早期リハビリテーション実施時期及び高度管理医療機器の種類との関連性についてカテゴリーを<>、ラベルを≪≫で示し結果を述べる。
まず、実施時期による違いについて、早期リハビリテーション実施前・中・後の全ての時期に<高度管理医療機器屈曲リスク><患者の状態悪化リスク><早期リハビリテーションの効果が不明で意義自覚困難><人員確保困難>が生成された。リハビリテーション実施前・中の時期には<高度管理医療機器抜去リスク><時間確保困難>が生成された。リハビリテーション実施前の時期のみには<早期リハビリテーションへの無抵抗感>が生成され、実施時期により心理状態に違いがあった。
高度管理医療機器の種類による違いでは、経皮的心肺補助装置、大動脈内バルーンパンピング駆動装置には<患者の状態悪化リスク>が関連し、人工透析装置には<高度管理医療機器屈曲リスク>が関連し、人工呼吸器には<高度管理医療機器抜去リスク><早期リハビリテーションへの無抵抗感>が関連した。更に、ラベルを見ると≪補助循環装置中のリハビリテーション時の急変が怖い≫に対し、≪人工呼吸器装着時のリハビリテーション実施慣れによる無抵抗感≫が抽出された事から、高度管理医療機器の種類の違いにより心理状態に違いがあった。
【考察】
補助循環装置を装着している患者は循環動態が不安定で、リハビリテーションが循環動態に影響した場合の患者の状態悪化リスクに対し心理的負担がある。また、実施時のアラーム対処の知識不足による漠然とした不安と、知識不足のため対応を他者に要請する状況が発生する可能性がある事、及びその業務的負荷への心理的負担があった。更に、デバイス屈曲による血管損傷や、デバイス抜去リスク等の不安や恐怖による心理的負担があった。また、<早期リハビリテーションの効果が不明で意義自覚困難>が生成された事は、鎮静下で意思疎通が図られない場合、リハビリテーションの効果が実感できず、意義を見出せない事による心理的負担があった。以上の心理的負担が、早期リハビリテーションの実施を阻害する心理的要因であることが示唆された。
救命救急センターにおいて、高度管理医療機器装着中の患者の早期リハビリテーションの実施を阻害する看護師の心理的要因を明らかにする。
【方法】
1.対象者:救命救急センターに勤務する、経験年数の構成割合に基づき層化無作為抽出した看護師10名
2.データ収集期間:2019年12月~2020年1月
3.データ収集方法:半構造的インタビュー(個室で一人30分程度で実施)
4.インタビュー内容:
①早期リハビリテーション実施前・実施中・実施後の時期で心理状態に違いはあるのか
②高度管理医療機器の種類の違いで心理状態に違いはあるのか
③看護師の背景
5.データ分析方法:得られたインタビュー内容を録音したICレコーダーから遂語録を作成した。そしてデータをコード化、
ラベルを抽出しカテゴリーを生成した。カテゴリーの関連性から実態を導き出した。
6.用語の定義:高度管理医療機器とは、日本医療機器産業連合会が示す医療機器クラス分類Ⅲ・Ⅳの機器を指す。
【倫理的配慮】
日本大学病院看護部研究審査委員会の承認を受け実施し、プライバシー保護を厳守した。
【結果】
看護師の背景は、看護師平均経験年数8.6年、救急領域での平均経験年数6.2年、早期リハビリテーション平均実施数5.2回/月であった。インタビュー結果から、54個のラベルを抽出でき、7個のカテゴリーが生成された。早期リハビリテーション実施時期及び高度管理医療機器の種類との関連性についてカテゴリーを<>、ラベルを≪≫で示し結果を述べる。
まず、実施時期による違いについて、早期リハビリテーション実施前・中・後の全ての時期に<高度管理医療機器屈曲リスク><患者の状態悪化リスク><早期リハビリテーションの効果が不明で意義自覚困難><人員確保困難>が生成された。リハビリテーション実施前・中の時期には<高度管理医療機器抜去リスク><時間確保困難>が生成された。リハビリテーション実施前の時期のみには<早期リハビリテーションへの無抵抗感>が生成され、実施時期により心理状態に違いがあった。
高度管理医療機器の種類による違いでは、経皮的心肺補助装置、大動脈内バルーンパンピング駆動装置には<患者の状態悪化リスク>が関連し、人工透析装置には<高度管理医療機器屈曲リスク>が関連し、人工呼吸器には<高度管理医療機器抜去リスク><早期リハビリテーションへの無抵抗感>が関連した。更に、ラベルを見ると≪補助循環装置中のリハビリテーション時の急変が怖い≫に対し、≪人工呼吸器装着時のリハビリテーション実施慣れによる無抵抗感≫が抽出された事から、高度管理医療機器の種類の違いにより心理状態に違いがあった。
【考察】
補助循環装置を装着している患者は循環動態が不安定で、リハビリテーションが循環動態に影響した場合の患者の状態悪化リスクに対し心理的負担がある。また、実施時のアラーム対処の知識不足による漠然とした不安と、知識不足のため対応を他者に要請する状況が発生する可能性がある事、及びその業務的負荷への心理的負担があった。更に、デバイス屈曲による血管損傷や、デバイス抜去リスク等の不安や恐怖による心理的負担があった。また、<早期リハビリテーションの効果が不明で意義自覚困難>が生成された事は、鎮静下で意思疎通が図られない場合、リハビリテーションの効果が実感できず、意義を見出せない事による心理的負担があった。以上の心理的負担が、早期リハビリテーションの実施を阻害する心理的要因であることが示唆された。