[OD504-02] 救命救急センターにおけるCOVID-19患者受け入れへの取り組みと課題
Keywords:COVID-19、マニュアル、救命救急センター
【はじめに】
A病院救命救急センター(以下、救急センター)は3次救急医療機関として役割を担っており、COVID-19感染者数の増加に伴い、2020年4月より入院協力医療機関として重症患者の受け入れを開始した。感染対策室の指導のもとICTリンクナースを中心とし、ゾーニングの設定などの病床整備を行うと同時に、患者搬送経路や挿管時の使用物品・薬剤、介助方法といった一連のシミュレーションを重ね、マニュアルを作成し幾度も修正してきた。2020年度後期は、重症患者の受け入れ数が増加してきたことに伴い、外部研修(厚生労働省ECMOチーム等養成研修事業 人工呼吸・ECMO講習会)に参加したスタッフによるV-V ECMO治療や看護ケアについての伝達講習を病棟内で企画したり、理学療法士から指導を仰ぎ、看護師が実践できるリハビリテーション方法を提示したりするなどスタッフの教育に努め、安全にそして可能な限り患者に安楽な看護を提供できるよう取り組んできた。また、3次救急対応も継続しており、COVID-19患者に対応できるスタッフが限定されるため担当回数の均等化を図り、担当表を作成し提示するなど、様々な取り組みを行ってきた。その経過を振り返り今後の課題が見出されたのでここに報告する。
【目的】
救急センターにおけるCOVID-19患者受け入れへの取り組みを振り返り、今後の課題を見出す。
【方法】
COVID-19患者を担当した救急センター看護師49名に対し、「マニュアルが参考となったか」「マニュアルにより前年度と比較し業務において効果があったか」「重症患者についての外部研修を受講したスタッフからの伝達講習に対する意見」「担当回数表の提示後、担当回数に変化はみられたか」の5項目について質問紙による調査を実施し単純集計を行った。
【倫理的配慮】
質問紙調査への回答をもって調査への同意とし、調査の回答は個人が特定されないよう配慮した。
【結果】
質問紙調査の結果、「マニュアルが役に立った」91.8%、「マニュアルにより当初よりスムーズに動けている」63.2%、「スムーズに動けていない、または変わらない」28.5%、「伝達講習が参考になった」100%であった。「スムーズに動けていない、または変わらない」との回答への理由としては、❝検体や物品の取扱いなどの業務面がマニュアルに記載されていない❞❝医師と共有されていない場面があった❞等が挙げられた。COVID-19患者における「担当回数に変化がみられたと思う」は55.1%という結果であった。
【考察】
救急センターの取り組みとして「マニュアルを参考にできた」という意見が9割に上り、マニュアル作成により担当スタッフが統一した方法で対応できるという効果があったと言える。また、実際にスムーズに動けているという回答が6割に留まったのは「使用する薬剤の指示がマニュアルと異なった」、「細かなルールがタイムリーに更新されていないことがあった」などが要因と考える。受け入れ当初は、COVID-19患者に対して感染対策等の不安が聞かれたが、マニュアルの作成・伝達講習・スタッフ教育の実施や、スタッフの負担に配慮し、担当回数の均等化をしたことで、患者・看護師双方にとって安心・安全な体制づくりを築くことができたと言える。今後は、予測できない患者数の動向に対し柔軟な対応と、スタッフの精神的負担に配慮していく必要があるため、これらの取り組みを継続し、マニュアルの更新やスタッフへの伝達をどのように進めていくかが課題であると考える。
A病院救命救急センター(以下、救急センター)は3次救急医療機関として役割を担っており、COVID-19感染者数の増加に伴い、2020年4月より入院協力医療機関として重症患者の受け入れを開始した。感染対策室の指導のもとICTリンクナースを中心とし、ゾーニングの設定などの病床整備を行うと同時に、患者搬送経路や挿管時の使用物品・薬剤、介助方法といった一連のシミュレーションを重ね、マニュアルを作成し幾度も修正してきた。2020年度後期は、重症患者の受け入れ数が増加してきたことに伴い、外部研修(厚生労働省ECMOチーム等養成研修事業 人工呼吸・ECMO講習会)に参加したスタッフによるV-V ECMO治療や看護ケアについての伝達講習を病棟内で企画したり、理学療法士から指導を仰ぎ、看護師が実践できるリハビリテーション方法を提示したりするなどスタッフの教育に努め、安全にそして可能な限り患者に安楽な看護を提供できるよう取り組んできた。また、3次救急対応も継続しており、COVID-19患者に対応できるスタッフが限定されるため担当回数の均等化を図り、担当表を作成し提示するなど、様々な取り組みを行ってきた。その経過を振り返り今後の課題が見出されたのでここに報告する。
【目的】
救急センターにおけるCOVID-19患者受け入れへの取り組みを振り返り、今後の課題を見出す。
【方法】
COVID-19患者を担当した救急センター看護師49名に対し、「マニュアルが参考となったか」「マニュアルにより前年度と比較し業務において効果があったか」「重症患者についての外部研修を受講したスタッフからの伝達講習に対する意見」「担当回数表の提示後、担当回数に変化はみられたか」の5項目について質問紙による調査を実施し単純集計を行った。
【倫理的配慮】
質問紙調査への回答をもって調査への同意とし、調査の回答は個人が特定されないよう配慮した。
【結果】
質問紙調査の結果、「マニュアルが役に立った」91.8%、「マニュアルにより当初よりスムーズに動けている」63.2%、「スムーズに動けていない、または変わらない」28.5%、「伝達講習が参考になった」100%であった。「スムーズに動けていない、または変わらない」との回答への理由としては、❝検体や物品の取扱いなどの業務面がマニュアルに記載されていない❞❝医師と共有されていない場面があった❞等が挙げられた。COVID-19患者における「担当回数に変化がみられたと思う」は55.1%という結果であった。
【考察】
救急センターの取り組みとして「マニュアルを参考にできた」という意見が9割に上り、マニュアル作成により担当スタッフが統一した方法で対応できるという効果があったと言える。また、実際にスムーズに動けているという回答が6割に留まったのは「使用する薬剤の指示がマニュアルと異なった」、「細かなルールがタイムリーに更新されていないことがあった」などが要因と考える。受け入れ当初は、COVID-19患者に対して感染対策等の不安が聞かれたが、マニュアルの作成・伝達講習・スタッフ教育の実施や、スタッフの負担に配慮し、担当回数の均等化をしたことで、患者・看護師双方にとって安心・安全な体制づくりを築くことができたと言える。今後は、予測できない患者数の動向に対し柔軟な対応と、スタッフの精神的負担に配慮していく必要があるため、これらの取り組みを継続し、マニュアルの更新やスタッフへの伝達をどのように進めていくかが課題であると考える。