第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 6.家族看護①

[OD601] 6.家族看護①

[OD601-02] 救急外来で亡くなる患者の家族とのコミュニケーション場面で看護師が抱く困難と対処

○中村 公彦1、菅原 美樹2 (1. 札幌東徳洲会病院、2. 札幌市立大学看護学部)

Keywords:救急外来、家族看護、コミュニケーション、困難、対処

Ⅰ.はじめに
 二次救急外来の看護師は、独歩や救急搬送される患者と家族に限られた人員で対応している。救急外来で死を迎える患者への対応は三次救急外来に比べて少ないことから、その家族とのコミュニケーションに困難を抱き、解決されない現状が課題となっている。三次救急外来に焦点をあてた研究はあるが、二次救急外来を対象とした研究は少ない。
Ⅱ.目的
 救急外来で亡くなる患者の家族とのコミュニケーション場面で看護師が抱く困難と対処を明らかにすることを目的とした。
Ⅲ.方法
 質的記述的研究デザインとした。調査期間は2020年9月~11月であった。研究対象者は、救急外来の業務を担ってから2年未満の看護師3名とした。インタビューガイドを用いた半構成的面接によりデータ収集を行った。質的記述的分析の手法として谷津(2015)の分析方法を参考に内容分析を行った。
 倫理的配慮は、札幌市立大学大学院看護学研究科倫理審査会の承認を得た後に実施した。研究対象者に対し、研究目的と意義、研究方法、参加の自由意志と撤回について、プライバシーの保護、個人情報の保護、研究結果の公表について文書を用いて口頭で説明し、同意書の署名をもって承認を得た。
Ⅳ.結果
 救急外来で亡くなる患者の家族とのコミュニケーション場面で看護師が抱く困難は、【家族に対応する時間がとれない状況】【激しい動揺・混乱している家族にどう声をかけたらよいのかわからない】【関係性に配慮した関わりと悲しみの表出ができない】【安易に返答できない】【関わりの評価ができない】【死を受け止めることで精一杯】【看護師1人で対応することの限界】の7つのカテゴリーが見出された。対処は、【ゆっくり話せる時間をできるだけ作る】【そばにいる・とにかく傾聴することしかできない】【タッチングを促し悲しみを和らげるよう声をかける】【家族がわからないことを説明するよう心がける】【他の医療者の協力を得て情報を共有する】【家族の思いを汲んだ対応をしたい】の6つのカテゴリーが見出された。
Ⅴ.考察
 看護師は激しい動揺や混乱などの家族の反応による影響を受けて、どう声をかけたらよいのかわからず、死を受け止めるだけで精一杯になりストレスを受けていることが考えられる。そして、【激しい動揺・混乱している家族にどう声をかけたらよいのかわからない】【関係性に配慮した関わりと悲しみの表出ができない】困難と【ゆっくり話せる時間をできるだけ作る】【そばにいる・とにかく傾聴することしかできない】対処は、救急外来の特徴であると考えられる。困難を軽減するためには、教育的な介入や看護師の思いを表出できるよう介入し、看護師の対処を強化していく必要があると考える。
Ⅵ.結論
 看護師が抱く困難は7つのカテゴリー、困難への対処は6つのカテゴリーが明らかになった。看護師への支援策として、ロールプレイやシミュレーション教育の実施、事例を共有する場の提供をしていく必要がある。