[OD602-04] テキストマイニングを用いた熱傷における家族看護に関する国内文献の動向
Keywords:熱傷、家族看護、テキストマイニング
【目的】熱傷の治療過程は長期間に及ぶため患者のみならず家族への影響も大きい。熱傷病期に応じた家族看護の実践は患者を含めた家族全体の機能維持向上に繋がるが、熱傷における家族看護に関する研究は非常に少ない。本研究はテキストマイニングを用いて熱傷における家族看護に関する国内文献の動向を明らかにすることを目的とする。
【方法】医学中央雑誌Web版を用いて期間は定めず「熱傷」「家族」「看護」をキーワードとし原著論文を検索した(最終検索:2021年3月14日)。論文言語は日本語とした。その結果52件が抽出され、看護学生を対象とした文献、熱傷に関連していない文献8件を除外、ハンドリサーチによる1件を追加し45件を分析対象とした。分析方法は、①文献の出版年、掲載雑誌、研究手法、研究対象の発達段階を確認した。②タイトルをテキストマイニング(KH Corder,2012)を用いて上位頻出語、共起ネットワーク分析を行った。③熱傷における家族看護について記述されている箇所を文脈単位ごとに抽出し②と同様に上位頻出語、共起ネットワーク分析を行った。倫理的配慮として公表されている文献のみを対象とし著作権に留意した。
【結果】対象文献は1978年~2020年に出版されており、最も多かったのは2004年の6件であった。掲載雑誌は「熱傷」が11件と最も多く、次いで「小児看護」6件であった。研究手法は「事例研究」が29件と最も多く、次いで「量的研究」9件であった。研究対象の発達段階は小児が最も多かった。タイトルの上位頻出語は、「熱傷」35が最も多く、「看護」23、「患者」16、「援助」11、「家族」11と続いていた。特に共起関係の強い共起ネットワークは、「熱傷」を中心に「看護」「患者」「重症」「自殺企図」が結びついていた。その他、「幼児」を中心に「入浴」「急性」「管理」等、「事故」を中心に「防止」「子ども」等のネットワークが確認された。熱傷における家族看護の記述があった文献は28件で187文脈単位が抽出され、上位頻出語は、「家族」77が最も多く、「説明」31、「面会」27、「患児」21、「母親」19、「医師」17と続いていた。特に共起関係の強い共起ネットワークは「治療」を中心に「疲労」「長期」「入院」「多い」が結びついていた。その他、「ショック」を中心に「聞く」「生命」「心配」等、「時期」を中心に「方法」「対処」「内容」等のネットワークが確認された。
【考察】熱傷における家族看護に関する文献は2004年をピークに下降し横ばいであった。研究手法は事例研究が多く、タイトルのテキストマイニングでは重症熱傷患者の看護や家族援助、小児の事故調査における熱傷予防などの取り組みが明らかとなった。家族看護の記述からは長期間の入院治療による疲労へのケア、衝撃を受けた家族への対処や受容への支援、多職種連携などが明らかとなった。熱傷は自殺企図による受傷やボディイメージの変容により精神的ケアが重視される。更に重症熱傷では終末期ケアが求められる場合もあるため、危機介入等の一定時期における家族ケアについて事例を丁寧に考察した研究が多かったものと推察される。小児の熱傷では、特徴として10歳未満の受傷が多いことから事故予防が重要であり虐待の可能性も視野に入れる必要がある。そのため、小児を対象とした事故調査が多く家庭内での予防的視点での研究がなされていた。熱傷はガイドラインが策定されているが、実践の統合や受傷から退院までを通した看護に関する文献は少なく、長期におよぶ療養に応じた家族看護の研究を蓄積する必要があると示された。
【方法】医学中央雑誌Web版を用いて期間は定めず「熱傷」「家族」「看護」をキーワードとし原著論文を検索した(最終検索:2021年3月14日)。論文言語は日本語とした。その結果52件が抽出され、看護学生を対象とした文献、熱傷に関連していない文献8件を除外、ハンドリサーチによる1件を追加し45件を分析対象とした。分析方法は、①文献の出版年、掲載雑誌、研究手法、研究対象の発達段階を確認した。②タイトルをテキストマイニング(KH Corder,2012)を用いて上位頻出語、共起ネットワーク分析を行った。③熱傷における家族看護について記述されている箇所を文脈単位ごとに抽出し②と同様に上位頻出語、共起ネットワーク分析を行った。倫理的配慮として公表されている文献のみを対象とし著作権に留意した。
【結果】対象文献は1978年~2020年に出版されており、最も多かったのは2004年の6件であった。掲載雑誌は「熱傷」が11件と最も多く、次いで「小児看護」6件であった。研究手法は「事例研究」が29件と最も多く、次いで「量的研究」9件であった。研究対象の発達段階は小児が最も多かった。タイトルの上位頻出語は、「熱傷」35が最も多く、「看護」23、「患者」16、「援助」11、「家族」11と続いていた。特に共起関係の強い共起ネットワークは、「熱傷」を中心に「看護」「患者」「重症」「自殺企図」が結びついていた。その他、「幼児」を中心に「入浴」「急性」「管理」等、「事故」を中心に「防止」「子ども」等のネットワークが確認された。熱傷における家族看護の記述があった文献は28件で187文脈単位が抽出され、上位頻出語は、「家族」77が最も多く、「説明」31、「面会」27、「患児」21、「母親」19、「医師」17と続いていた。特に共起関係の強い共起ネットワークは「治療」を中心に「疲労」「長期」「入院」「多い」が結びついていた。その他、「ショック」を中心に「聞く」「生命」「心配」等、「時期」を中心に「方法」「対処」「内容」等のネットワークが確認された。
【考察】熱傷における家族看護に関する文献は2004年をピークに下降し横ばいであった。研究手法は事例研究が多く、タイトルのテキストマイニングでは重症熱傷患者の看護や家族援助、小児の事故調査における熱傷予防などの取り組みが明らかとなった。家族看護の記述からは長期間の入院治療による疲労へのケア、衝撃を受けた家族への対処や受容への支援、多職種連携などが明らかとなった。熱傷は自殺企図による受傷やボディイメージの変容により精神的ケアが重視される。更に重症熱傷では終末期ケアが求められる場合もあるため、危機介入等の一定時期における家族ケアについて事例を丁寧に考察した研究が多かったものと推察される。小児の熱傷では、特徴として10歳未満の受傷が多いことから事故予防が重要であり虐待の可能性も視野に入れる必要がある。そのため、小児を対象とした事故調査が多く家庭内での予防的視点での研究がなされていた。熱傷はガイドラインが策定されているが、実践の統合や受傷から退院までを通した看護に関する文献は少なく、長期におよぶ療養に応じた家族看護の研究を蓄積する必要があると示された。