[OD701-01] 手動式除細動(DC)院内認定看護師制度の設立
-教育プログラム受講前後の看護師の思いの変化-
Keywords:手動式除細動、院内認定看護師制度
Ⅰ.目的
A病院は、24時間ホットライン(循環器・脳卒中)を実施している二次救急指定病院である。2019年度の心臓カテーテル検査実施件数は498件、そのうち経皮的冠動脈インターベンション(以下PCIとする)は328件、PCI中に致死性不整脈を起こし電気的除細動を実施した件数は8件であった。A病院において、PCI中の致死性不整脈出現時、医師から看護師へ手動式除細動(以下DCとする)を指示されることがある。しかし、その体制が整備されておらず、看護師は躊躇し対応できていない。医師がDC施行することで治療が中断され、冠動脈再還流を遅らせている可能性があるため、看護師がDC施行するための体制づくりが必要であると考えた。
先行研究において、看護師がDC施行を躊躇する理由が明らかにされている。そこで、看護師が躊躇なく安全にDC施行するために院内認定看護師制度を設立し、必要な教育プログラム(以下プログラムとする)の構築と実践を行い、プログラム実践前後での看護師の思いの変化についてまとめたので報告する。
Ⅱ.方法
1.研究期間:2020年4月~2021年1月
2.対象者:A病院の卒後5年目以上の看護師で、プログラム参加を希望した39名。
3.実施方法
1)プログラム実施前後で、プログラム参加者へ「看護師によるDC施行に対する思い」について半構成面接法によるインタビューを実施
2)インタビュー結果から、看護師の思いの変化を分析。インタビュー内容からコードを抽出し、カテゴリ、サブカテゴリに分類した。分類手順はKJ法を参考にし、主観的分類とした。
4.倫理的配慮
研究対象者へ、研究への協力は自由意志に基づくものであり、同意しない場合であっても何ら不利益を被らず、いったん同意した場合でもいつでも途中で取りやめることができ、それにより不利益を被ることはないことを口頭で説明し、同意を得た。
Ⅲ.結果
1.プログラム修了者は4名。看護師経験年数平均は21.5年、救急・集中ケア領域看護経験年数平均は5.1年。
2.プログラム修了者における受講前後での「看護師によるDC施行に対する思い」を比較。
カテゴリにおいて、プログラム受講前に最も多かったのは【不安感】であり、受講後も【不安感】が2番目に多かった。【不安感】のサブカテゴリは、受講前は「患者に与える影響」、「法律上の解釈」、「マンパワー不足」などが挙げられたが、受講後は「焦りによる手技失敗」、「DC院内認定看護師の業務拡大」などが挙げられていた。受講後、【抵抗感】が明らかに減少し、【達成感】【肯定的変化】【安心感】などの肯定的な思いが生じていた。【肯定的変化】のサブカテゴリは、「多職種協働の重要性への気づき」「職種の壁を越えた柔軟な思考の気づき」などが挙げられた。
Ⅳ.考察
受講前後で【不安感】の内容が変化したのは、プログラムを修了したことで将来を見据え、「DC院内認定看護師の業務拡大」を懸念し、不安材料が増したためと考える。受講前後で【抵抗感】が減少したが、これは、多職種で患者の救命に携わる必要性を、受講者が認識したためと考える。DC院内認定看護師であれば、必ず看護師がDCを施行するということではない。患者の救命のために最善の蘇生行為を実施するには何が必要かという柔軟な思考をすることで、【抵抗感】が減少したものと考える。今後緊急時に対応可能な知識・技術を担保するための訓練を継続するとともに、DC院内認定看護師の業務拡大においては、スタッフの思いを尊重しながら慎重にすすめていく必要がある。
A病院は、24時間ホットライン(循環器・脳卒中)を実施している二次救急指定病院である。2019年度の心臓カテーテル検査実施件数は498件、そのうち経皮的冠動脈インターベンション(以下PCIとする)は328件、PCI中に致死性不整脈を起こし電気的除細動を実施した件数は8件であった。A病院において、PCI中の致死性不整脈出現時、医師から看護師へ手動式除細動(以下DCとする)を指示されることがある。しかし、その体制が整備されておらず、看護師は躊躇し対応できていない。医師がDC施行することで治療が中断され、冠動脈再還流を遅らせている可能性があるため、看護師がDC施行するための体制づくりが必要であると考えた。
先行研究において、看護師がDC施行を躊躇する理由が明らかにされている。そこで、看護師が躊躇なく安全にDC施行するために院内認定看護師制度を設立し、必要な教育プログラム(以下プログラムとする)の構築と実践を行い、プログラム実践前後での看護師の思いの変化についてまとめたので報告する。
Ⅱ.方法
1.研究期間:2020年4月~2021年1月
2.対象者:A病院の卒後5年目以上の看護師で、プログラム参加を希望した39名。
3.実施方法
1)プログラム実施前後で、プログラム参加者へ「看護師によるDC施行に対する思い」について半構成面接法によるインタビューを実施
2)インタビュー結果から、看護師の思いの変化を分析。インタビュー内容からコードを抽出し、カテゴリ、サブカテゴリに分類した。分類手順はKJ法を参考にし、主観的分類とした。
4.倫理的配慮
研究対象者へ、研究への協力は自由意志に基づくものであり、同意しない場合であっても何ら不利益を被らず、いったん同意した場合でもいつでも途中で取りやめることができ、それにより不利益を被ることはないことを口頭で説明し、同意を得た。
Ⅲ.結果
1.プログラム修了者は4名。看護師経験年数平均は21.5年、救急・集中ケア領域看護経験年数平均は5.1年。
2.プログラム修了者における受講前後での「看護師によるDC施行に対する思い」を比較。
カテゴリにおいて、プログラム受講前に最も多かったのは【不安感】であり、受講後も【不安感】が2番目に多かった。【不安感】のサブカテゴリは、受講前は「患者に与える影響」、「法律上の解釈」、「マンパワー不足」などが挙げられたが、受講後は「焦りによる手技失敗」、「DC院内認定看護師の業務拡大」などが挙げられていた。受講後、【抵抗感】が明らかに減少し、【達成感】【肯定的変化】【安心感】などの肯定的な思いが生じていた。【肯定的変化】のサブカテゴリは、「多職種協働の重要性への気づき」「職種の壁を越えた柔軟な思考の気づき」などが挙げられた。
Ⅳ.考察
受講前後で【不安感】の内容が変化したのは、プログラムを修了したことで将来を見据え、「DC院内認定看護師の業務拡大」を懸念し、不安材料が増したためと考える。受講前後で【抵抗感】が減少したが、これは、多職種で患者の救命に携わる必要性を、受講者が認識したためと考える。DC院内認定看護師であれば、必ず看護師がDCを施行するということではない。患者の救命のために最善の蘇生行為を実施するには何が必要かという柔軟な思考をすることで、【抵抗感】が減少したものと考える。今後緊急時に対応可能な知識・技術を担保するための訓練を継続するとともに、DC院内認定看護師の業務拡大においては、スタッフの思いを尊重しながら慎重にすすめていく必要がある。