第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 7.看護教育

[OD701] 7.看護教育

[OD701-02] 在宅療養生活における療養者急変時の訪問看護師の抱える不安と対応について-心肺蘇生法修得の必要性とは-

○後藤 陽子1、迫田 典子2 (1. ケアメイト訪問看護ステーション品川、2. 東京医療学院大学)

Keywords:在宅看護、急変時対応、訪問看護師

【目的】
在宅療養生活を送る療養者は年々増加傾向にある。とくに高齢者や末期がん療養者の在宅療養の人口はますます増えている現状である。在宅で終末期を迎える療養者に対し、訪問看護師は常に急変と背中合わせといったリスクを抱えながら日々対応を行っている。急変に直面した看護師は、「何が起こっているかわからない」「どう対応していけばよいかわからない」と迷い、混乱し、不安な心理状況へと陥りやすい。それは、急変した場面では、基本的に訪問看護師一人での対応となることが要因であると考えられる。そこで、在宅療養サポートチームの看護師を対象としてアンケート調査を行い、訪問看護師が抱える不安と、急変時の対応して何が必要であるのかを明確にした。
【方法】
訪問看護師5名に対して、療養者の急変時の認識について自記式質問紙調査を実施した。
【倫理的配慮】
研究対象者には、研究目的・意義・方法・データ管理・プライバシーの保護、研究参加の拒否や途中撤回が可能であり、看護に全く影響しないことについて口頭と書面で説明し文書で同意を得た。また、本調査は社内審査で承認を得た上で実施した。
【結果】
対象看護師5名は女性であり、年齢は23~64歳(平均年齢41.2歳)、看護師経験年数は、0~44年(平均19.0年)、訪問看護の経験年数は0~8年(平均2.6年)であった。0年目の看護師以外は、外科・内科とも実際に療養者の急変の場面に遭遇したことがあるスタッフが3名で、「事前に対応方法が分かっていた場合は冷静に対応できるが、突然の急変には困惑することが多い」との回答が多数であった。少数であるが「医師への連絡中に状態が更に悪化したら対応が困難になることが予想され不安だ」という回答がされていた。また急変時の対応は、経験した看護領域での知識・技術を活用しているとの回答が多数であった。さらに心肺蘇生法の研修の必要性について、ほぼ全員が必要であると回答していた。
【考察】
訪問看護師は、病院や施設と異なり療養者の急変時の状況判断や対応が一人であるため、心身共に負担を感じていることが今回の調査により明らかになった。このため、在宅療養者の急変時の対応方法が事前に明確になっている場合は、訪問看護師の混乱や不安の程度は大きくなく、適切な対応が実施できると推測される。一方で予期せぬ急変時には、一人で対応することの不安や混乱が生じていると考えられる。訪問看護師は、多くの場合一人で対応するため、急変時にはまず人員の確保、療養者の身体面でのアセスメント等の役割や多くの判断を短時間で実施しなければならないことが、心理的負担になることが明らかになった。このことより、心肺蘇生法のスキルの習得が、急変時に遭遇した時の不安を緩和し迅速な救命対応を可能にすることができると考えられる。またそのためには、心肺蘇生法の研修の必要性が明らかになり、早急に一時救命措置法や心肺蘇生法に関する研修等を受講しスキルの習得が求められていることが示唆された。