第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 7.看護教育

[OD701] 7.看護教育

[OD701-03] 2年課程の看護学生が有する患者の急変時対応に関する不安感の調査研究 -一次救命処置講習 受講前後の比較-

○高野 直美1,2、小野澤 清美3,2 (1. 日本医療科学大学保健医療学部 看護学科、2. 前大宮医師会看護専門学校、3. 国際医療福祉大学大学院 医療福祉研究科 )

Keywords:2年課程、看護学生、患者急変対応、不安感、BLS講習

【研究目的】新人看護師の心的ストレスとして、「患者の急変」が指摘されており、看護学生にとっても不安要因であると考えられる。そこで、2年課程(昼間定時制 修業年限3カ年)A看護専門学校3年生を対象に、一次救命処置(以下BLS)の受講前後で、急変時対応の具体的状況を想定した質問紙調査を実施し、BLS受講が急変時対応の不安感を軽減できるのかを明らかにすることを目的とした。
【方法】2016年8月にBLS受講したA看護専門学校の3年生43名に対して、独自に作成した質問紙を用いて、BLS受講前後に患者の急変時対応の不安感について比較検討した。調査内容は、BLSを行うことを想定した患者の状態に対する不安感の強さを順位付けさせた。また、急変時対応に必要とされる項目の不安の程度を「0:最も不安を感じない」~「10:最も不安を感じる」の10件法で回答を求めた。さらに「将来、救急看護領域に就きたいか」を、長さ10cmのビジュアル・アナログ・スケール(VAS)を用いて、左端「0:絶対に就きたくない」、右端「10:絶対に就きたい」と定義し、現在の気持ちに印をつけることを求めた。VAS は印がつけられた点0のポイントからの距離(mm)を定規で計測した。受講前後の比較はSPSS Statistic(ver.27)にてWilcoxon の符号付順位検定(P<0.05)を用いた。
【倫理的配慮】日本救急看護学会倫理委員会にて承認を得た。研究の趣旨、研究の参加は自由意思に基づくこと、成績には一切関係せず不参加によって不利益を被ることはないことを成績に関与しない研究者が文書と口頭で説明した。質問紙は個人が特定できないよう番号をつけ無作為に配布し、誰が投函したかわからない場所に回収箱を設置した。
【結果】35人(81.3%)から回答を得た。BLSを行うことを想定した患者の状態では、受講前が、窒息>交通事故>ショック状態>急性中毒>溺水>痙攣発作>意識障害>呼吸障害>外傷>不整脈の順であった。受講後は、交通事故>溺水>ショック状態>急性中毒>痙攣発作>意識障害>呼吸障害>窒息>外傷>不整脈の順であった。急変時対応に必要とされる項目に対する不安の比較では、「夜間帯の急変に対応できるか(P=0.00)」「迅速に適切な判断ができるか(P=0.00)」「病態についての知識不足(P=0.00)」「急変時対応の技術力不足(P=0.00)」「医療機器の取扱い方法(P=0.00)」「医療事故(P=0.00)」「対処したことによる症状の悪化(P=0.00)」「適切な応援要請(P=0.01)」の不安が受講後に有意に減少した。「バイタルサインの正確な把握」の不安は有意差は認められなかった(P=0.28)。「将来、救急看護領域に就きたいか」のVASは、受講前は平均42.2(SD±28.2)、受講後は平均45.7(SD±27.0)であり、統計学上、受講後が有意に高かった(p=0.02)。
【考察】BLS受講は「窒息時の対応」の不安感を減少させた。急変時対応に必要とされる項目では、受講した項目の不安が軽減され、「バイタルサインの正確な把握」は、講習に含まれていなかったために有意差が認められなかったと考えられる。BLS受講は、将来の救急看護領域に就く気持ちに肯定的な影響を与えられる可能性が示唆された。【結論】2年課程の看護学生が有する患者の急変時対応に関する不安感において、BLS受講は、患者の急変時対応への不安を軽減させ、「将来、救急看護領域に就きたいか」の気持ちを肯定的にする可能性があると示唆された。