第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [一般演題] » 9.医療安全②

[OD902] 9.医療安全②

[OD902-05] A病院における看護部Rapid Response Systemチーム会活動と看護師の行動の変化

○小笠原 美奈1 (1. 秋田赤十字病院 )

Keywords:Rapid Response System

【目的】
 A病院では、急変徴候に気づき介入するRapid Response System(以下RRS)構築が急務となり2017年に発足された。「気づき」の主役である看護師の状況認識力を磨くためには座学では限界があり、8名のインストラクターを養成し2018年からシミュレーションを開始した。2019年からは医療安全推進室と協力し看護部RRSチーム会(以下チーム会)が発足された。RRSコール事後検証の結果、チーム会発足前後を比較しRRSコール発生件数増加と初期対応する看護師の行動に変化がみられた。今回は、RRSコール発生件数増加や看護師の行動の変化に繋がったチーム会活動内容は何か検証した。
【方法】
事後検証方法
1.RRSコール発生部署で、チーム会メンバーを含めた看護師と共に事後検証をする。
2.事後検証内容と電子カルテの情報をまとめる。
3.内容は、要請日時、部署、患者ID、要請時間、要請者職種、要請から医師到着までの時間、要請理由、介入した内容、患者の予後、事後検証でのフィードバック内容を記録した。
研究方法
1.2018年~2020年のRRS発生件数を集計する。
2.看護師の判断による介入があった事例数を集計し、実践した行為を抽出、その件数を集計した。
【倫理的配慮】
 患者に関する情報は「診療情報閲覧の許可」を提出した上で個人を特定されないように処理し、目的以外には使用せず、その情報収集のために使用する電子カルテは特定した場所で閲覧した。看護部倫理委員会の審査を受け承認された。
【看護部RRSチーム会発足と活動内容】
 2019年医療安全推進室と協力しチーム会が発足された。活動目的は、RRS発動により、入院患者の予期しない心停止を減らし、一般病棟での状態悪化からICU入室までの時間短縮-ICU緊急入室患者の予後改善に向けて啓発活動を継続的に実施することとし、各部署に1~2名のメンバー(以下リンクナース)を置き現在24名で活動している。
 チーム会ではシミュレーションを毎月2回開催し、啓発活動・教育など4つの活動グループを設け毎月1回開催されるチーム会で活動報告している。リンクナースは、チーム会で共有したRRSコールや事後検証内容を部署内報告し、インストラクター養成も並行している。現在では学習会や事後検証のファシリテーターとしての役割を担っている。
【結果】
 RRSコール発生件数は2018年度2件、2019年度2件、2020年度29件で要請者職種は全て看護師だった。
 RRSコール後医師が到着する前に看護師の判断による介入があった事例が、2018年度0件、2019年度0件、2020年度23件で79%を占めていた。実践した行為は、モニター装着17件、酸素投与開始または流量変更12件、静脈路確保または流量変更6件だった。他に下肢挙上2件、12誘導心電図検査と簡易血糖測定が各1件だった。
【考察】
 RRSコール発生件数は増加し、要請者職種の全てが看護師だった。シミュレーション開催と、リンクナースからの事後検証内容報告は、看護師がRRSを知る機会となった。それが啓発活動になり発生件数増加に繋がった。RRSコールの79%で看護師の判断による介入があった。実践した行為は、シミュレーションに含まれるABCDアプローチや、事後検証内容に含まれるもので、シミュレーションや事後検証でフィードバックを受け行動できた。チーム会発足後、シミュレーション参加要件をリンクナースによる事前講義受講とし、参加者のレディネス形成により学習効果が上がった事も、看護師の行動の変化に繋がった。各部署に配置されたリンクナースの存在は、看護師の行動の変化に寄与していると考える。