第23回日本救急看護学会学術集会

Presentation information

パネルディスカッション

第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » パネルディスカッション

[PD1] [パネルディスカッション2] 救急外来看護の革新 -救急外来における帰宅時支援システムー

Fri. Oct 22, 2021 2:10 PM - 3:30 PM ライブ2

座長:箱崎 恵理(看護協会ちば訪問看護ステーション)

3:10 PM - 3:30 PM

[PD1-03] 救急搬送帰宅患者に対する電話訪問実施への取り組み
~電話訪問の定着と安心・安全な医療の提供を目指して~

○宮里 典子1 (1. 沖縄中部徳洲会病院 集中治療室)

Keywords:救急搬送後帰宅患者、電話訪問

【はじめに】

2015年10月より「医療事故調査制度」が開始され、医療に関わる事故やトラブルが頻繁に報道されている。その中に、救急搬送帰宅後に予期せぬ急変で重篤な状態に至った事例や、急変したことで医療訴訟に発展する事例も発生している。

当院においても、救急対応の患者が多くその危険性も高いと思われる。救急搬送された患者は通常より極めて不安状態に置かれており、帰宅した患者のなかには医療従事者が想像する以上に不安を抱えているケースも多く、病院側の細やかな心配りに安心し、信頼を寄せることも多いと聴く。

今回、救急搬送帰宅患者に対する電話訪問実施への取り組みを通して、電話訪問が患者の無事を確認するだけの病状把握にとどまらず、患者が安心して自宅療養ができる支援と継続診療に繋げることの重要性を認識できた。患者の不安を解決するため電話訪問の実施は必要であり、その取り組みから得たことを報告する。

【方法】

対象:救急搬送後帰宅された患者(2488名)

調査方法:救急搬送搬入後帰宅患者への「電話訪問調査用紙」より把握

対象期間:平成28年4月1日~平成29年3月31日

計算方法:

電話訪問実施件数(電話に出た実数)    ×100

電話訪問実施件数(電話訪問対象除外を除く)

電話訪問実施率目標:60%

【倫理的配慮】

 当院の倫理委員会にて承認を得た。

【結果・考察】

 開始当初は電話訪問の流れが定まっておらず電話訪問を忘れてしまったり、業務が増え仕方なく行っていた。また、電話訪問するが電話番号が間違っていたり、不在で連絡がつかない場合や対象者の選定が不明確なことにより混乱を招いていた。そこで、医事課での電話番号確認の徹底と電話訪問フローの作成、対象除外項目の統一、電話訪問時間の設定など基準を設けた。基準を設け方法の統一化を図ったことで、自主的に電話訪問を実施、継続することができ電話訪問が定着してきた。帰宅後の状況を確認することで患者、家族からは疑問や不安に思っていたことを直接質問でき安心感が得られると感謝の声が多く聴かれた。感謝の声を頂くことで看護師のモチベーションも徐々に高まっていった。一方で患者、家族からの要望も聴かれることもあった。患者の要望を聞くことで、自分たちの説明不足や対応を振り返る良い機会になった。帰宅後の患者の状況や意見を確認することで患者、医療者の双方に安心感が得られ、安全な医療の提供と継続した医療に繋がると言える。

【結論】

 救急搬送帰宅した患者の状態を把握することは、医療者の責務である。電話訪問実施率は当初20~30%だったが、改善後は58.8%と上昇し、看護師の電話訪問に対する意識改革へ繋がった。電話訪問による継続看護を通して、患者の不安を少しでも軽減することは患者の安心・安全につながる。

【参考・引用文献】

・看護研究の進め方 論文の書き方
(医学書院 早川和生)
PD1-03.jpg