第23回日本救急看護学会学術集会

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パネルディスカッション

第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » パネルディスカッション

[PD1] [パネルディスカッション1] 守れ!新型コロナウイルス感染患者と対応に従事する医療者のメンタルヘルス

Sat. Oct 23, 2021 11:00 AM - 12:30 PM ライブ1

座長:守村 洋(札幌市立大学)、立野 淳子(小倉記念病院看護部クオリティマネージメント科)

11:50 AM - 12:10 PM

[PD1-06] COVID-19重症患者とその家族をケアする看護師の立場から

○津田 泰伸1 (1. 聖マリアンナ医科大学病院 救命救急センター)

Keywords:COVID-19、看護師、メンタルヘルス

 新型コロナウイルス感染症重症患者の受け入れを開始してから、早くも1年半が経過した。この抄録を書いている2021年8月の時点では、第5波真っ只中にあり患者数は増加の一途をたどっている。大学病院としての社会的責務に応じるかたちで増床の決断がされ、救命センターは全てコロナ病床へと様変わりした。陰圧管理ができるよう改修工事がされ、増床されたのも束の間ベッドは1日で埋まった。救急車で搬送されてきたが満床で入院できないコロナ患者は、外来ブースで腹臥位をおこないながら一晩過ごす。そんな日々が続いている。何をもって医療崩壊というのかは分からないが、通常おこなうことができた治療やケアがおこなえず、活用できる資源が不足しているという意味であれば、その状態にあるのかも知れない。

 コロナ患者の入院は、緊急搬送の後の受入れ時と状態悪化時の処置が一番忙しく、ある程度処置がひと段落つけば、あとは通常と大きな違いはない。PPEの装着はだいぶ慣れた。しかし、受入れと転院出しという繰り返しの作業は、「私たちは何をしているのだろうか」、「いつまで続くのだろうか」と虚無感を募らせる。数週間経てば落ち着くに違いない、そう経験を重ねてきたが、第1~5波のように、繰り返す波が次第に大きくなるにつれ、その波の振れ幅が大きくかつ長くなるにつれ、精神的加重は大きくなり心が擦り切れてしまいそうになる。いつものその人らしさや性質が変わってしまうスタッフもいる。また、変異株の到来で、自分と近い年齢の患者が挿管され、ECMOが装着される姿を目の当たりにしながら、不安や恐怖といった言葉では表しきれない、自己存在を脅かす状況にさらされているのも事実である。 

 患者やご家族がうけるコロナの影響も甚大であり、様々な感情を抱きながら耐えることが強いられている姿を目の当たりにする。隔離と孤立、看取りの問題、沢山のジレンマが患者・家族と医療者の両者につきまとっている。看護師は背負い過ぎているという人類学者の声もあるが、だけれどやはり看護にこだわりたく割り切れないない人が多い。

 文書を書き進めながら、かなり悲惨な状況で仕事をしているのではないだろうか、とはっとさせられるが、なんとかやってこれている。同僚や他職種を守り切れているのかは自信がないが、一緒に対話を重ねながら対応にあたってきた。決して成功事例として語れる程立派な活動をしてきているわけでもなく、また、私自身、先日返送されてきたストレスチェックにひっかかってしまっているような人間である。そんな私ではあるが、コロナ重症病棟の看護師の立場からこれまでの自施設の活動を振り返りつつ、メンタルヘルスについて考えてみようと思う。