第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » パネルディスカッション

[PD3] [パネルディスカッション3] 東京オリンピック・パラリンピックにおける救急医療体制の構築と今後の課題

2021年10月23日(土) 15:10 〜 16:50 ライブ1

座長:佐藤 憲明(日本医科大学付属病院 看護部)、山勢 博彰(山口大学大学院医学系研究科)

16:10 〜 16:30

[PD3-04] オリンピック•パラリンピック指定病院の役割と現状

○溝江 亜紀子1 (1. 東京医科歯科大学病院 集中治療部・救命救急センター)

キーワード:オリンピック•パラリンピック、指定病院、COVID-19

当院は東京都文京区に位置する大学病院で、断らない救急を目指し年間7〜8000件の救急搬送を受け入れていた。しかしCOVID-19の流行とともに、2020年4月より陽性の重症、中等症患者を積極的に受け入れる病院として体制が変化した。そのため救急病棟の病床数が半分以下になったことに加え、救急搬送自体が疑い扱いとなるために搬入自体を激減せざるを得なくなり、さらに一般診療にも多大なる影響を及ぼしている。現在は都の要請レベルに合わせ、その都度病床数を変化させ受け入れ体制をとっている。
 今回、東京2020オリンピック・パラリンピック受け入れ指定病院として依頼されたステークホルダーは、選手及び選手団役員【NOC/NPC】国際競技連盟【IF】、期間はオリンピック・パラリンピック開村期間を含む2021年7月7日(選手村プレオープン)〜9月8日(選手村閉村日)、対象は入院加療、特殊検査を要する患者とされている。東京都の緊急事態宣言が発令されている中でCOVID-19陽性患者数が増加し、オリンピック関連患者の受け入れや病床確保だけでなく、院内の一般診療や予定手術の維持が必要とされており、病床や人員のバランスを取って行くことが求められる。しかし直接関係しない部門や部署との熱量の違いは否めない。病院全体で受け入れる体制をとることができるかが課題であると推察される。そのため、院内の新型コロナ対策室、ベットコントロールセンターなど複数の部門からなるチームで協議を行なっていった。
①患者受け入れと病床確保
 COVID-19の受け入れに伴い圧迫されている一般診療に影響を与えず、受け入れ体制をどう整えていくか準備を行なった。指定されたルートではないオリンピック関連の搬送や、そこからCOVID-19陽性者が発生する可能性など、様々なことを踏まえる必要があり、オリンピック関連の院内対応フロー・病床対応フローを繰り返し検討し、それに則り実施することとなった。
②多言語対応
 COVID-19流行以前から様々な国の患者が搬送されていたため、困難な場合はMERON(医療通訳システム)やポケトークを使用していた。また国際医療部を中心に多言語化した病院内案内図や診断書を準備し、医療費の相談など対応していた。そのため特別な準備は必要ないことを確認した。
③テロ対策
 病院全体でテロ対策訓練を実施し、webclassで全職員が視聴できるようにした。さらにER医師と看護師で実働的な部分を詰め再確認し備えた。
 実際にどのような患者が搬送されどのように対応したのか、また見えた問題点や対策などを踏まえて紹介させていただきたい。