第23回日本救急看護学会学術集会

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第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » パネルディスカッション

[PD3] [パネルディスカッション3] 東京オリンピック・パラリンピックにおける救急医療体制の構築と今後の課題

2021年10月23日(土) 15:10 〜 16:50 ライブ1

座長:佐藤 憲明(日本医科大学付属病院 看護部)、山勢 博彰(山口大学大学院医学系研究科)

16:30 〜 16:50

[PD3-05] 東京オリンピック・パラリンピックに備える特定機能病院(救急・集中治療)の取り組み

○渕本 雅昭1 (1. 東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター)

キーワード:特定機能病院、MCI、受け入れ準備

2021年に1年遅れで開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、各国の関係者や観客等が多数訪日するため開催期間中の医療救護体制の整備が求められた。多数傷病者事故(以下、MCIとする)は、地域の救急医療体制において通常業務の範囲では対応できないような多数の重症傷病者を伴う事故災害のこととされている。オリンピック・パラリンピックは、最も有名な大規模国際イベントであり、会期中には典型的なマスギャザリングとなる。マスギャザリングイベントでは、一般的に大規模交通事故や大規模火災などがMCIとして懸念され、各開催地域の医療機関はMCIが発生した場合は、当該地域内の医療対応計画に基づいてその受け入れを行う。しかし、一般的にMCIでは短時間で収束は見込めるものの、通常診療で対応できない医療需要が発生し、医療機関では緊急度や重症度、発生要因によっては除染などの特殊な対応も必要となる。また、今大会の開催時期は7月下旬から9月初旬の夏場の開催であり、多数傷病者の発生によるマスギャザリングに加えて、多くの熱中症患者などに対応する必要も検討された。熱中症を代表とする急性症状への対応、MCIとテロによる銃創・爆傷患者への対応、感染症対策、外国人対応、重症患者のICU管理など多岐に渡った。これら、診療にあたる、医師、看護師らには、会場現場だけでなく受け入れる病院でも適切な対応が要求された。
 当院においても今大会の開催を契機に、マスギャザリング災害によるMCI対応について検討がなされた。基本的な対応方針は、①通常診療を継続した状態での対応、②大規模災害時同様の対応の2パターンを検討した。今回、MCI対応の方針決定したことで、診療体制・患者情報の共有方法、薬剤準備と請求方法、医療事務とは事前IDの準備や患者情報の共有など多職種との調整や再確認ができた。また、この検討過程が、改めて部署全体およびスタッフ個々の備災につながったとも考える。