第23回日本救急看護学会学術集会

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[SY] [シンポジウム] AI・ITを活用した救急医療・救急看護の現状と今後の展望

Fri. Oct 22, 2021 4:00 PM - 5:30 PM ライブ1

座長:浅香 えみ子(東京医科歯科大学 医学部附属病院)、川口 孝泰(医療創生大学 国際看護学部)

4:25 PM - 4:50 PM

[SY-02] AI・ITを活用した救急医療・救急看護の現状と今後の展望~筑波大学の取り組みを例にして

○浅野 美礼

人工知能(artificial intelligence: AI)は苦手とする領域を着々と小さくしているようだが、教師データがすでにたくさんある問題、結論があいまいではなく数値で出力できる問題が得意で、疲れ知らずで高速かつ大量の処理ができるのが利点だ。これを最大限活用するため、大規模災害が起きた際の医療資源の最適配分を考えるという課題を考えてみたい。
 厚生労働省の直近の資料によれば、茨城県は人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位、医師偏在指標は全47都道府県中42位と下位である。一方で335ある二次医療圏中でつくばが4位、水戸が79位と上位三分の一に入っている。医師の分布が大きく偏っていると言える。そこで筑波大学の井上貴明教授を中心とする救急・集中治療医学グループは筑波大学附属病院を基地局とした遠隔期急性期医療支援システムの構築を提案した。Tele-ICUシステムを基盤として、茨城県内主要医療施設のER/ICUと生体情報を含む患者情報、施設の空床状況などの医療情報をリアルタイムで交換し、ホスト施設となる筑波⼤学で専⾨医・専⾨看護師・専⾨技師が直接各施設の現場に指示・助言を与える医療⽀援システムを構築しようというものである。
 構想では、通常時1チーム3人(医師1名、看護師1名、医療事務1名)で管理するとしているが、大規模あるいは広域にわたる自然災害・同時多発事故などが発生した場合にはおそらく人間では人手を増やしたところで困難が発声すると予想される。医療資源としての施設、人、材料、器械、動線と移動手段、時間などの量と分布をAIに把握させておき、その配分を最適化問題としてとらえて高速、大量、持続的に判断できる仕組みを作ることが非常時に役立つ。また、シミュレーションをすることで、偏在している医師をはじめとした医療資源の配置を改善する方策も立てることができると考える。