第23回日本救急看護学会学術集会

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[SY] [シンポジウム] AI・ITを活用した救急医療・救急看護の現状と今後の展望

2021年10月22日(金) 16:00 〜 17:30 ライブ1

座長:浅香 えみ子(東京医科歯科大学 医学部附属病院)、川口 孝泰(医療創生大学 国際看護学部)

16:50 〜 17:10

[SY-03] AI・ITを活用した救急医療・災害医療をつなぐ・支える取り組みと今後の展開

○武田 聡1、挾間 しのぶ1、竹下 康平1、高尾 洋之1 (1. 東京慈恵会医科大学)

キーワード:AI・IT、救急医療、災害医療

救急医療や災害医療の現場での情報技術を用いる取り組みは目覚ましい進化を遂げている。東京慈恵会医科大学には情報技術を医療で活用するための基礎研究から臨床応用までを幅広く取り扱う研究部門である「総合医科学研究センター先端医療情報技術研究部」があり、医療系モバイルアプリ開発とAIやITを活用したアプリの実証研究を実施している。今回の講演では、我々が救急医療・災害医療で実践している情報技術の用いた、つなぐ・支える取り組みの一部をご紹介したい。



一刻を争う救急医療現場における情報技術の活用

急性虚血性脳卒中(脳梗塞)や急性冠症候群(心臓発作)などの救急医療の現場は一刻を争う。我々はCloud ERプロジェクト「Medical Cloud ER System(図)」の実証研究や実践を始めている。アルム社の、MySOS、JOIN Triage、そしてJOINという3つのアプリを使用していて、その実例をご紹介したい。一刻を争う救急医療現場では、このような情報技術を用いた患者情報の共有は極めて有効であり、今後もさらなる進化発展が予想される。



心停止事例における情報技術活用の試み

さらに重症な心停止事例ではさらに一刻を争う事態となる。現場での一般市民によるバイスタンダーCPRとバイスタンダーAEDをいかにして増やすかが課題となる。情報技術により、倒れた人の位置情報を共有して、周辺にいるバイスタンダーCPRのできる人と、周辺にあるAEDの位置情報とバイスタンダーAEDのできる人をつなぐことが可能となれば、さらに多くのバイスタンダーCPRがおこなわれるようになり、さらに多くのバイスタンダーAEDもおこなわれるようになるはずである。実際に展開されている実例をご紹介したい。



災害時の情報技術の活用

災害時の医療機関は患者が押し寄せ、また夜間などの場合には医療者も少なく、大混乱に陥る可能性がある。情報技術を使用して、災害現場のどこで何名の医師や看護師などの医療者が活動しており、今後何名の医療者がこの現場にサポートに入れるかを把握できることは、災害時の医療体制を構築するためにも非常に有用と考えられる。さらに患者に使用するトリアージタグを電子化して、どこに何名のどのような重症度の患者がいるかを把握する取り組みも進められている。また火災時に救助に入る消防隊員の位置情報はもちろん、現場に取り残された傷病者がどの部屋に何名いるのか、などを把握するシステムの開発も進められている。その試みをご紹介したい。



さらに働き方改革としての情報技術の活用や、在宅の見守りとしての情報技術、さらにウエアラブルデバイスを活用した今後のさらなる展開など、もご紹介したい。本シンポジウムで、AI・ITを活用した救急医療・災害医療をつなぐ・支える取り組みと今後の展開、を共有させていただき、共に歩んでいけたら幸いである。
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