第23回日本救急看護学会学術集会

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シンポジウム

第23回日本救急看護学会学術集会 [指定演題] » シンポジウム

[SY2] [シンポジウム2] 「コロナ禍における救急対応と今後の課題 -臨床現場と保健所の協働による挑戦-」

Sat. Oct 23, 2021 11:20 AM - 12:50 PM ライブ2

座長:渕本 雅昭(東邦大学医療センター大森病院)、芝田 里花(日本赤十字社和歌山医療センター 看護管理室)

11:45 AM - 12:10 PM

[SY2-02] コロナ禍における臨床現場のマネジメントと今後の課題

○川谷 陽子1 (1. 愛知医科大学病院 高度救命救急センター)

Keywords:マネジメント、COVID-19

【目的】A大学病院高度救命救急センターEICUでは、COVID-19流行に伴い、EICU6床を陰圧室へ改修し2020年4月から陽性者を受け入れた。COVID-19流行は災害に類似した状況と感じ、管理者として危機的状況に対するマネジメントをする必要があると考えた。コロナ禍における臨床現場のマネジメントについて振り返り報告する。
【方法】COVID-19 に係る臨床現場で実践した取り組みについて、日本看護協会が示す看護管理者に求められる6つの能力である、①組織管理能力②質管理能力③人材管理能力④危機管理能力⑤政策立案能力⑥創造する能力を活用し分析する。本研究はA病院看護部研究倫理審査会(簡2021-20)の承認を得た。
【結果】①組織管理能力では、COVID-19受け入れに関する病院および看護部の方針や救命センターの責務を目標管理に掲げ部署全体に浸透させた。②質管理能力では、COVID-19プロジェクトチームを発足し、感染対策、環境整備、看護実践について最新のガイドラインをもとに整備した。③人材管理能力では、患者の増加時の人員確保の仕組みを整えた。④危機管理能力では、スタッフの心身の健康状態を把握するため2020年3月から健康管理のアンケートを導入した。毎月スタッフ個人と部署全体の変化を把握し、必要時臨床心理士と連携した。⑤政策立案能力、⑥創造する能力に該当するマネジメントは実践できなかった。
【考察・結論】COVID-19受け入れ当初は、未知のウィルスに対する不安や体制・環境に対して不平不満を感じ、管理者もスタッフも危機的状況に陥った。COVID-19重症患者を看護するという責務があるという目標を掲げ共有し、COVID-19に関する看護の質確保の体制を整えたこと、人員確保の仕組みを整えたこと、スタッフの健康状態を把握する仕組みを整えたことは、危機に立ち向かうマネジメントの一助になったと考える。今後はウィズコロナの日常を受容し、日本の看護の動向を踏まえた上で、新たなものを創り出そうと挑戦し、さらなる対応力を培うことが課題と考える。