第6回日本在宅医療連合学会大会

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教育講演

06-2:事業所運営・経営

教育講演7:勘・経験・度胸(KKD)だけに頼る運営から脱却するための、データに基づく事業所経営

Sat. Jul 20, 2024 2:00 PM - 3:00 PM 教育講演 (オンデマンド配信)

座長:次橋 幸男(天理よろづ相談所病院 白川分院 在宅世話どりセンター)、猪原 健(猪原[食べる]総合歯科 医療クリニック)

2:00 PM - 3:00 PM

[EL7-1] 勘・経験・度胸(KKD)だけに頼る運営から脱却するための、データ・経営理論に基づく事業所経営

*大平 怜也1 (1. 株式会社ケアクラフトマン)

1999年 九州ビジュアルアーツマルチメディア学科卒業
2000年 社会福祉法人成心会入職(介護職員)
2008年 同法人の施設ケアマネジャーへ異動
2012年 同法人退職、株式会社ケアクラフトマン設立
2021年 グロービス経営大学院大学経営学経営専攻修了
令和4年度介護サービス施設・事業所調査の概況によると、国内には約30万の介護施設・介護サービス事業所がある。1社あたり5事業所運営していると仮定しても6万社が介護事業を運営しており、6万人の社長が介護事業を経営していることになる。2000年に介護保険制度が始まった当初は地域を問わずすべての市場が成長市場であり、事業所も介護従事者も介護事業に参入する企業も雨後の筍のごとく増えていった。介護現場で働いていた人が起業するケースも多くかくいう私もその一人だ。しかし制度開始から24年経ち、介護報酬は下がり、競合他社は増え続け、人材不足は深刻化し、地方においては市場の衰退期にさしかかっている地域もある。成長市場では経営の難易度は低く“誰がやってもうまくいく”状態だったが、いま介護事業者は苦境に立たされている。今回、KKD(勘・経験・度胸)だけの経営からの脱却というテーマをいただいた。KKDは大事だが直感をはできるだけ論理で説明し、経験はn=1だけではなく歴史からも学び、度胸はそれを裏付ける根拠に支えられていなければハリボテのKKDになってしまう。介護保険サービス事業は国の制度でもあることから様々なデータが公開されている。例えば市町村ごとの市場規模や競合数、今後の展望などは検索すれば簡単に入手できる。そういった客観的なデータの活用に加え、経営理論を活用することで当てずっぽうではない(少しでも成功確率の高い)経営が可能ではないかと思う。演者は専門学校卒後に居酒屋のアルバイトを経て特別養護老人ホームの介護職となり、介護現場を13年経験後に起業、起業から5年後に大学院に進学し経営学を修めた経験をもつ。経営の“け”の字も知らずに起業してしまった演者の失敗談、MBA取得後の経営の取り組みなどを紹介しながらこれからの介護経営について考えてみたい。