第6回日本在宅医療連合学会大会

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一般演題(口演)

01-1:ACP・意思決定

一般演題(口演)8 ACP・意思決定 ほか

Sat. Jul 20, 2024 3:35 PM - 4:25 PM 第8会場 (会議室103)

座長:竹田 幸彦(ひだまり診療所)

4:15 PM - 4:25 PM

[O-1-35] キーパーソン不在で意思表示困難な患者の意思決定支援
―患者のライフストーリーを知り、多職種で関わった3症例―

*早川 未来1 (1. 東邦大学医療センター佐倉病院)

【はじめに】我が国は少子高齢化・人口減少時代を迎え、単独世帯・高齢夫婦のみの世帯や、認知症を有する人が増加しており、意思決定支援に難渋することが多い。今回、患者は意思表示困難であり、かつキーパーソン不在のため意思決定支援に難渋した症例を報告する。
【症例】A氏80歳代男性。妻と2人暮らし。認知機能低下があり、妻が意思決定をしていた。肝細胞癌で外来通院中に肝細胞癌破裂で緊急入院。看取りが近い病状であり、A氏に病状や急変の可能性の説明をするも理解・認識は曖昧だった。妻は脳梗塞を発症して他院入院中で、意思疎通困難だった。A氏夫婦に関わっていた地域包括支援センター職員や妹夫婦・甥から、これまでの生活状況等を聞き、急変時対応や金銭管理・逝去後の対応の調整を行った。
B氏70歳代男性。会社の寮で生活し、家族は兄嫁がいたが疎遠。意識障害を主訴に救急搬送となり入院。意思表示困難のため兄嫁に連絡して医療対応の相談を持つも、病院へ一任するという意向だった。会社の上司にB氏の健康管理や医療に対する考えを確認し、その後院内臨床倫理委員会で検討を行った。
C氏80歳代女性。独居。妹がいたが疎遠。心不全の治療目的に緊急入院。入院後に脳梗塞発症による感覚性失語のため意思疎通困難となった。入院前に関わっていた民生委員へ入院前の生活状況や療養の意思を確認。施設入所の意向があったとのことであり、院内・院外関係職種と相談を持ち、成年後見人制度の調整や転院調整を行った。
【考察】本人が意思表示困難な場合、入院前に本人に関わっていた人から、ライフストーリーや普段の生活状況、本人が大切にしていたこと、健康・医療や今後の生活に対する思い等を聞き出していく。その上で院内関係職種、入院前に関わっていた地域の医療・介護職種や家族・職場の人たち等と一緒に、本人にとっての最善の生活や医療のあり方を導き出すことが重要である。