第6回日本在宅医療連合学会大会

Presentation information

ポスター

14-1:臓器不全

一般演題(ポスター)臓器不全2

Sat. Jul 20, 2024 1:55 PM - 2:25 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:渡辺 剛(渡辺緩和ケア・在宅クリニック)

2:15 PM - 2:20 PM

[P-1-142] 多職種への迅速な感染管理指導やサービス調整で角化型疥癬を治療できた一例

*梅沢 義貴1、松井 香代1、比嘉 友希1、石髙 優2、小笠原 雅彦1 (1. 医療法人社団同善会 同善病院、2. 訪問看護ステーションちるな)

【背景】疥癬、特に角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は感染力が非常に強く医療・介護従事者への感染も容易に生じてしまう。今回は多職種が関わる中、感染者を出さずに角化型疥癬を自宅で治療・ケアすることに成功したため報告する。
【症例】独居の89歳女性。X-14日に掻痒感を伴う紅斑が体幹に出現し、抗ヒスタミン薬外用で経過を見た。しかし改善するどころか皮疹や掻痒感は増悪し、X日の定期診察では蠣殻様に重積した角質増殖が両手掌に出現したため角化型疥癬を強く疑い、皮膚検体を採取してストロメクトール内服とクロタミトン外用による治療を開始した。患者はADLがほぼ全介助のためデイサービスに週6日通っていた。感染リスクを考えデイサービスは中止して訪問診療・看護・介護を活用して自宅で治療を行う方針とした。
X+14日の診察でも皮疹は改善せず、抗ヒスタミン薬でも改善しない全身の強烈な掻痒感から一睡もできず、食欲も低下し全身状態は著明に低下した。
X+21日の診察時にようやく手掌の皮疹は改善傾向となったためX+28日に皮膚検体を採取したところ、疥癬陰性であった。X+35日に2回目の陰性を確認したところで疥癬の投薬治療を終了した。
【考察】在宅医療は多事業所が関わるため情報共有が難しく、感染対策を強化しても他事業所スタッフがどのように対応しているかまでは不透明なことが多い。
当症例では角化型疥癬を診察で疑った1時間後に関係多職種を病院に集めて緊急カンファレンスを行った。疥癬治療経験の豊富なスタッフによる勉強会をその場で開催し、同日には訪問看護師が患者宅玄関をゾーニングして感染対策を強化した。また各職種の役割を明確化することで必要以上の滞在時間を減らし感染リスクを抑えた。このような迅速な対応や明確な役割分担が、医療・介護従事者から感染者を出すことない安全な治療・ケアに繋がったと考える。