第6回日本在宅医療連合学会大会

Presentation information

ポスター

16-1:リハビリテーション

一般演題(ポスター)リハビリテーション1

Sat. Jul 20, 2024 2:35 PM - 3:05 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:宇田 薫(医療法人おもと会)

2:40 PM - 2:45 PM

[P-1-145] 生きた証を残すリハビリテーション~「香典返しを作りたい」本人と家族をつないだ最期の作業活動~

*鈴木 紀子1、福本 和彦1 (1. 磐田在宅医療クリニック)

【はじめに】当院は2016年4月に開院した在宅療養支援診療所である。在宅における緩和ケアの1つとして作業療法士が趣味や娯楽活動を提供している。心身の苦痛の緩和、精神的な喜びや満足感、また家族と過ごす作業活動を提供できた症例を経験したので報告する。本報告は倫理委員会の承認済みである。【活動】60代女性 肝細胞癌 両下肢不全麻痺。X年より肝細胞癌への治療開始。様々な治療を行うも5年8ヵ月経過後、脊椎転移による背部痛が出現。同年10月には両下肢不全麻痺となり入院。その後BSCの方針で納得され、翌年2月自宅退院となり当院介入となった。介入後褥瘡予防のための運動の他、生活の楽しみとして作業療法開始。趣味は手工芸やガーデニングである。生活時間の多くをベッド上で過ごし、ADLは食事と整容の一部を除き生活全般に介助を要する状態。いくつかの作業活動を提案すると「出来ないことが増えて諦めていたけれど、これから色々できると思うと楽しみ」と前向きな発言が聞かれた。作業活動として工作やマカロン作り、手作りスコーンとクッキーで夫とのティーパーティーも行った。ベッド上から窓の外を眺めている様子から、趣味であるガーデニングに関係した作業として庭の花を使用したドライフラワーを提案する。様々なブーケを作ったり小瓶に入れてリボンをかけたりと、作業療法の時間だけはベッドから身体を起こし痛みも忘れて作業に集中していた。家族と花の組み合わせ等を相談しながら多くの作品を作り上げた。これが本人と家族との最期の共同作業となった。【考察】家族と共に今を生きたいという強い気持ちが原動力となり、作業活動を通して本人の残された時間に充実感を与え、家族にとってもかけがえのない時間や思い出を残せたことで家族へのグリーフケアにもつながった。