第6回日本在宅医療連合学会大会

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シンポジウム

15-1:緩和ケア

シンポジウム31:日本緩和医療学会合同企画 ~オピオイド持続注射を在宅医療で広めるために何ができるか~

Sun. Jul 21, 2024 8:00 AM - 9:30 AM 第6会場 (会議室303)

座長:廣橋 猛(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター)、茅根 義和(大森赤十字病院 緩和ケア内科)

8:50 AM - 9:10 AM

[S31-3] 在宅医療におけるオピオイド持続注射投与の必要性を考える〜在支診薬剤師の立場から〜

*佐久間 詠理1 (1. 医療法人社団淳友会 わたホームクリニック)

1986年 東邦大学薬学部卒業
1986年 明治製菓株式会社 
1987年 新橋調剤薬局 
1999年 株式会社水戸薬局 
2013年 医療法人社団淳友会わたクリニック     現在に至る
がん性疼痛はがん患者の大きな苦痛症状であり、身体的な痛みによって在宅患者のActivities of Daily Living(以下ADL)が低下するばかりでなく、不安が生じ精神的な苦痛をももたらす。患者のQuality Of Life(以下QOL)を著しく低下させる要因となり、速やかな症状緩和が求められる。がん性疼痛にオピオイド鎮痛薬で疼痛コントロールが行われる中、急激な疼痛の増悪時にオピオイド持続注射の投与を自己調節鎮痛法:Patient Controlled Analgesia(以下PCA)によって導入することで速やかな症状緩和が図れ、在宅患者は希望とする在宅療養を継続することができる。当院においては2023年に訪問診療を行ったがん患者636名の内およそ40%にPCAが導入され、PCAを導入した患者の97%が在宅でのお看取りとなりPCAの有用性が示されている。しかし、薬剤の投与のためには患者はルートで繋がれた状態に置かれるため、その拘束の負担がある。また在宅で使用するポンプは小型に設計されているが、ADLが保たれている患者にとってポンプの接続は、移動や動作を妨げるものになり得る。在宅療養は生活の中で行われるため患者の生活スタイルに合わなければ、導入できない、導入後すぐに離脱するということが起こる。患者が希望とする生活スタイルに合わせた医療を提供することが、患者の精神的な痛みの緩和に繋がる。患者の希望とする医療と医療者側の考える最善の医療とは異なることがある。患者の精神的な痛みの緩和を行わずに身体的な痛みの緩和のみでは、最善の医療にはならない。本シンポジウムでは、症例を通してPCA導入の必要性をお示しし、この有用なPCAが在宅医療においてまだ充分に広まっていない現状の要因を探り、広まるために必要なことを考えたい。