第6回日本在宅医療連合学会大会

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一般演題(口演)

14-1:臓器不全

一般演題(口演)11 臓器不全 ほか

Sun. Jul 21, 2024 8:00 AM - 8:40 AM 第8会場 (会議室103)

座長:亀井 たけし(けんせいホームケアクリニック)

8:10 AM - 8:20 AM

[O-2-2] 訪問診療を受ける心不全患者の在宅入院に関する後ろ向き調査の検討

*相川 幸生1、松本 拓也1、内田 貞輔1 (1. 静岡ホームクリニック)

【目的】心不全パンデミックを迎えるにあたりに心不全患者に対する在宅診療のニーズが近年高まっている。心不全診療は大きく慢性心不全治療(増悪予防のための管理)と急性心不全治療に分かれるが、最近では後者への対応も在宅診療に求められてきている。そこで今回我々は急性心不全に対する在宅診療の実態を明らかにすることを目的として調査した。【方法】2021年1月から2022年12月に当院で訪問診療を行った慢性心不全患者(全816例)のうち、急性心不全で在宅入院した102例を対象として、後ろ向き観察研究を行った。急性心不全の診断はフラミンガムクライテリアを用いた。療養場所によって居宅入院群と施設入院群の2群で両者の治療内容及び予後を比較検討した。主要臨床アウトカムは急性心不全発症6か月間の主要心血管イベント(全死亡および心不全再増悪)とした。【結果】年齢:90±7歳、男性:43%、要介護3以上:65%、居宅:51%(n=52)、施設:49%(n=50)であった。急性心不全治療はフロセミド注射を100%で行っており、在宅酸素療法を59%で導入していた。これらの治療は居宅入院群と施設入院群で明らかな差は認めなかった。観察期間の中央値は98日であった。急性心不全発症後6か月で、主要心血管イベントは65%、全死亡は54%で起こっていた。両群間で主要心血管イベントの有意な差は認めなかった(69% vs. 60%, p=0.33)。【考察】在宅心不全患者は入院患者と比べて高齢で予後は不良であった。一方で療養場所(居宅か施設)によって治療内容や予後に明らかな差は認めず、居宅での療養が必ずしも予後を不良しない可能性が示唆された。本研究は小数例での検討であり今後さらなる検討が必要と考えられた。