第6回日本在宅医療連合学会大会

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シンポジウム

14-1:臓器不全

シンポジウム51:在宅腹膜透析で広がる可能性と希望

Sun. Jul 21, 2024 2:20 PM - 3:50 PM 第9会場 (会議室104)

座長:正木 浩哉(正木医院)、片岡 今日子(日本財団在宅看護センターひまわり)

2:20 PM - 2:50 PM

[S51-1] やってみよう!腹膜透析
~「その人らしく活きる」を支える訪問看護の役割~

*片岡 今日子1 (1. 日本財団在宅看護センターひまわり)

1996年 東京都立板橋看護専門学校卒業、大田区内の総合病院に入職
2006年 東京女子医科大学認定看護師教育センター入学
2015年~2017年 千葉県内介護付き有料老人ホーム、訪問診療、訪問看護の統括部長
2017年「日本財団在宅看護センター起業家育成事業研修(笹川保健財団実施)」受講。
2017年10月 K&Y株式会社設立
2018年4月 日本財団在宅看護センターひまわり開設、現在に至る
わが国には、血液透析(HD)約35万人に対し、腹膜透析(PD)は約3%の1万人程度しかいない。(日本透析医学会統計調査より)
高齢HD患者は、「透析に通えない」「血管が脆弱でシャントが作れない」「4時間透析が耐えられない」「透析自体が理解できない」等の理由で、抑制と鎮静にてHDを施行されることが多々ある。また、ADL低下や認知症増悪等にて自宅生活が困難になると、本人の意に反し、施設入所しか選択肢が無くなり見知らぬ土地で生涯を閉じるケースも少なくない。私たち医療者は、これまでの「長期生存」「延命」から目の前の人の「残りの人生をどのようにその人らしく生きるか」を考えていく必要がある。 PDは、病院に通う必要が無く、患者ごとの生活や食事量、介護状況等に合わせてPDメニューを組むことが出来る。
2022年12月末現在、HD患者35万人のうち19万人以上が70歳以上の高齢者である。通院困難や、非透析日にベッドで臥床し動けない等、患者自身が望む生活が出来ていないことがあると容易に想像が出来る。この先元気で生活するために透析療法を選んだはずが、その人らしく生活することが出来ていない人々を支えていくのが在宅チームの役割ではないか。
地域でPDを看ることが出来れば、多くの高齢末期腎不全患者が自宅でこれまで通り生活を維持し、仕事や趣味、庭仕事、畑仕事などを行い、彼らの残された人生を家族と穏やかに過ごすことが出来ると信じている。私たちはそうやってこれまでPD患者をサポートしてきた。
私たち訪問看護が動けば、HDしか選択肢の無かった高齢者が救われることは間違いない。当事業所のこれまでの経験から、数例の事例をご紹介しPDの置かれている現状と課題、看護師の役割等をお伝えする。そして、日本中で「PDを選択しても、安心して生活できる」世の中になることを期待する。