第6回日本在宅医療連合学会大会

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シンポジウム

14-1:臓器不全

シンポジウム51:在宅腹膜透析で広がる可能性と希望

Sun. Jul 21, 2024 2:20 PM - 3:50 PM 第9会場 (会議室104)

座長:正木 浩哉(正木医院)、片岡 今日子(日本財団在宅看護センターひまわり)

3:30 PM - 3:50 PM

[S51-4] 慢性腎臓病患者さんの希望と在宅透析の重要性
~自分らしく治療と暮らすために~

*雁瀬 美佐1 (1. NPO法人 腎臓サポート協会)

薬剤師国家資格取得。
製薬会社勤務を経て、メディカルライター・メディカルジャーナリストとして活動。
1997年10月、臓器移植法施行と共にスタートした(公社)日本臓器移植ネットワークに勤務し、広報・啓発事業部長として広報および臓器移植医療の普及啓発、国民の臓器提供・臓器移植に関する意思選択・権利の周知に努める。
2021年4月、NPO法人腎臓サポート協会理事長就任。慢性腎臓病患者に対する重症化予防と適正な治療法選択への情報発信・社会啓発に取り組む。
NPO法人腎臓サポート協会の活動の中で、患者アンケート調査は、患者の声や希望を抽出し、NPOの活動や医療者側の取り組みに大きな示唆を与えてくれている。コロナ禍の緊急WEBアンケートでは、感染による重篤化や通院時・医療機関内での感染が不安要素であり、在宅環境における遠隔診療への期待が高かった。また、保存期の患者さんが腎代替療法選択をする時に重要なこととして、「今の日常生活が続けられること」「自宅で治療が受けられること」が上位にあげられた。さらに2023年3月の「透析患者に関する意識調査」では、透析治療を始める前に医師から受けた説明に偏りがあり、高齢者に対しても在宅透析の説明が約6割程度であった。事前説明の偏りは現在に至る治療にも大きく影響していることが示された。2023年2月に実施した米国のCMS(メディケア・メディケイドサービス)との勉強会では「米国では患者中心の医療を促進するため、臨床成績のみならず患者の意思に沿った治療成果を重要視している。42%の患者が在宅透析を希望しているが、現状は15%以下に留まっていることから、この現状を改善すべく新しい医療支給制度を試行している」「治療の選択肢は在宅透析、施設透析、腎移植、薬物療法であり、患者の意向を重視する」ことなどが紹介された。また、国際的なアカデミアからも在宅腹膜透析推奨の提言が多く出されている。患者さんが家で自分らしい生活と治療の両立を希望する場合、その選択肢があることを広く伝えていく必要性と社会全般への啓発が重要である。実際に在宅透析を行っている高齢患者のインタビュー内容、おうちde 透析キャンペーン、病院検索における訪問看護の連携、パンフレットの治療説明順の変更など、普及と啓発に関する取り組みについても紹介する。