第6回日本在宅医療連合学会大会

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一般演題(ポスター)

17-1:排尿・排便ケア

一般演題(ポスター)排尿・排便ケア・褥瘡ケア

Sun. Jul 21, 2024 3:25 PM - 4:05 PM ポスター会場2 (コンベンションホールA)

座長:杉浦 敏之(医療法人社団弘惠会杉浦医院)

3:30 PM - 3:35 PM

[P-2-82] 下剤を使用しない脊髄損傷者の排便ケア
~脊髄損傷特化型の訪問看護・介護事業所による取り組み~

*川村 享平1,2、セヌ 未央1、浦野 治佳1、古庄 衣里1、立山 沙耶花1、南山 慶伍1、大須賀 悠吾1、山田 知佳1、熊井 惟志3、小栁 礼恵4、須釜 淳子4 (1. 訪問看護ステーションRe:Lfe、2. ヘルパーステーションRe:Life、3. みどり訪問クリニック、4. 藤田医科大学社会実装看護創成研究センター)

【はじめに】脊髄損傷者にとって便失禁は最大の悩みのひとつである。今回、入院時から刺激性下剤を内服しているASIA機能障害尺度のA(完全麻痺)の3例が当事業所の利用後に下剤を中止して適切な排便ケアをした結果、便失禁の頻度が大幅に低下したので報告する。なお、本報告において個人情報保護に配慮し本人から同意を得た。【症例】1例目:20代C4(四肢麻痺)男性、座薬を使用、下剤(刺激、機械性)を内服。便失禁は毎月で、4度の時もあり。便失禁する場合は軟便であった。下剤を中止後、便失禁は減少し、直近半年は1度も便失禁がない状態で、便秘にもならなかった。2例目:50代C6男性、浣腸を使用。刺激性下剤を内服。便失禁はほぼ毎月あり多い月は5回以上であった。刺激性下剤を終了すると同時に毎日の訪問看護として直腸に便が下りている時に対処する方法へ変更した。月に1回程度の便失禁が1年ほど継続したが、徐々に便失禁は減少し、直近半年間での便失禁は1回だった。3例目:20代C6男性、浣腸を使用。刺激性下剤を内服。退院後の2週間で便失禁が2度あったため、刺激性下剤を徐々に減らし、中止とした後に機械性下剤を内服。その後も月に1回ほどの便失禁は継続し便性状の軟便化があるため機械性下剤も中止。便失禁の頻度は半年に2度へ減少。外食機会が増加したときに便失禁が増加するも直近3か月の便失禁はない。なお、看護師の介入は各利用者に合わせた排便の促進に効果的な排便マッサージ方法、浣腸の量・保持時間、排便終了の目安など各利用者に適したより良い排便ケアを検討しながら実施した。【考察】刺激性下剤や機械性下剤の使用により直腸やS上結腸の便が軟便化しているときがあり、その時にここで便を貯留できず便失禁することが要因と考えられる。今回、下剤を中止し、同時に各利用者に合わせた適切な看護ケアを行ったことで便失禁の頻度が減少したと考えられる。