第6回日本在宅医療連合学会大会

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ポスター

17-1:排尿・排便ケア

一般演題(ポスター)排尿・排便ケア・褥瘡ケア

Sun. Jul 21, 2024 3:25 PM - 4:05 PM ポスター会場2 (コンベンションホールA)

座長:杉浦 敏之(医療法人社団弘惠会杉浦医院)

3:35 PM - 3:40 PM

[P-2-83] 在宅診療における肉眼的血尿に対する対応の検討

*力石 辰也1、小畑 正孝2、淺野 友彦1、伊藤 浩光2、永野 牧郎3、野口 拓哉4、阪地 楓2 (1. 医療法人社団ときわ練馬在宅クリニック、2. 医療法人社団ときわ赤羽在宅クリニック、3. 医療法人社団ときわ大宮在宅クリニック、4. ときわ在宅クリニック墨田)

【目的】
肉眼的血尿を訴える在宅患者について、患者背景・診断・治療および転帰を検討することを目的とした。
【方法】
2018年7月から2023年11月を調査対象期間とした。電子カルテの検索機能を利用してカルテ内に「血尿」の記載がある診療記録を抽出し、その中から肉眼的血尿を訴えた患者67名を対象とした。これらの患者の年齢・性別・抗血栓薬内服の有無・行われた検査・血尿の原因診断・対応・転帰について調査した。調査にあたっては、患者の氏名・住所・電話番号は抽出せず、個人の識別には患者番号のみを用い、患者背景としては年齢・性別のみを用いて個人情報の保護に配慮した。
【結果】
患者の平均年齢は84.1±11.3歳、性別は男性24例(35.8%)女性43例(64.2%)であった。抗血栓薬を内服している症例は29例(43.3%)あった。尿路超音波は20例(29.8%)、尿沈渣は5例(7.5%)で施行された。肉眼的血尿の原因は尿路感染症が16例(23.9%)で最も多く、ついで尿道留置カテーテル関連13例(19.4%)、抗血栓薬の副作用7例(10.4%)、尿路結石6例(9.0%)、既知の膀胱腫瘍6例(9.0%)、前立腺肥大症3例(4.5%)、直腸がんの膀胱浸潤2例(3.0%)、尿道カルンクラ2例(3.0%)で、診断なしも11例(16.4%)みられた。対応は抗生物質投与12例(17.9%)、抗血栓薬の中止が5例(7.5%)その他4例(6.0%)経過観察のみが44例(65.7%)であった。血尿をコントロールできなかった2例(3.0%)が入院となった。
【考察】
在宅診療の場面で肉眼的血尿を訴えた患者の40%以上が抗血栓薬を使用中であり、まずはこのことを念頭に置くべきと考えられた。次に在宅診療における肉眼的血尿では、一般泌尿器科診療とは異なり、悪性疾患よりは尿路感染症や尿路結石が原因であることが多いものと推察された。診断には超音波が有用であるが、現状では30%程度しか使用されていないので、より多くの活用が望ましいと思われた。