第6回日本在宅医療連合学会大会

Presentation information

一般演題(ポスター)

17-1:排尿・排便ケア

一般演題(ポスター)排尿・排便ケア・褥瘡ケア

Sun. Jul 21, 2024 3:25 PM - 4:05 PM ポスター会場2 (コンベンションホールA)

座長:杉浦 敏之(医療法人社団弘惠会杉浦医院)

4:00 PM - 4:05 PM

[P-2-88] 直腸エコー習得に向けた安価・簡便な便性状評価用ファントム作製の試み

*柗原 香織里1、上松 東宏2、加納 美代子3、渡部 恵1、大杉 泰弘4 (1. 豊田地域訪問看護ステーション、2. 名古屋大学大学院医療の質・患者安全学講座博士課程/豊田地域医療センター総合診療科、3. 地域医療人材育成センター・豊田訪問看護師育成センター、4. 藤田医科大学連携地域医療学/豊田地域医療センター総合診療科)

【はじめに】近年超音波装置の進歩やタスクシフトの観点などから、看護師によるポイント・オブ・ケアでのエコー(以下エコー)の活用が注目されている。特に訪問看護師の排泄エコーは、フィジカルアセスメントを補完するツールとして期待されている。一般的に、エコーの技術習得には画像を適切に描出し、解釈するための訓練が含まれるが、既製品のファントムは高価であり、施設によっては購入を逡巡してしまう。そのため、身近な材料を用いた自作ファントムは、高い教育的価値が見込まれる。
【活動】今回我々は、一般に市販されている生活用品を用いて、便性状評価用の自作ファントムを作製した。作製方法は、豆腐や豆乳をゼラチンや食物繊維とともに容器に流し込み行った。内部に硬便と普通便に見立てた2種類の食品(ミニトマト・団子)を配置した。また周辺臓器として、水風船を用いて膀胱などを再現した。完成した自作ファントムは、外観や走査性、描出された画像について評価を行った。
【考察】今回作製したファントムは、硬便(ミニトマト)および普通便(団子)とも、便性状評価に有用な知識を修得できることが示唆された。また膀胱と直腸の貯留便の位置関係の把握についても有用と考えられた。保存の耐用性においては、腐敗の進行も考慮し冷蔵保存で2週間程度であることや、教育として使用する際の問題点としては、膀胱以外の周辺臓器の再現が困難なため、これら2点が今後の課題となった。訪問看護師が提供する在宅ケアにおいて、排泄ケアは重要な観察項目の一つであり、エコーを併用した場合に浣腸や摘便などの侵襲的処置や便秘による緊急訪問回数の低減などにつながる可能性が示唆されている。高まるエコーの学習ニーズに対して、安価かつ簡便に準備できるファントムは、教育資源に対する予算の問題を解決するための手段として有用であると考える。