第6回日本在宅医療連合学会大会

Presentation information

ポスター

13-3:がん

一般演題(ポスター)がん2・難病1

Sun. Jul 21, 2024 10:10 AM - 10:50 AM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:融 衆太(新渡戸記念中野総合病院 脳神経内科)

10:20 AM - 10:25 AM

[P-2-105] ALS患者・家族の在宅療養を支える~病病連携、複数科及び多職種の連携の中で~

*北原 孝夫1 (1. 香川医療生活協同組合 高松協同病院)

【背景】筋萎縮性側索硬化症(ALS)は神経・筋疾患の中でも治療法が確立されていない神経難病の象徴的疾患とされてきた。最近遺伝子治療や再生医療等の進歩は目覚ましいが、日常的な実用性のある臨床治療にはまだ一定時間がかかるだろう。特に進行すると人工呼吸器や経管栄養等のサポート的な医療処置が不可欠で、患者の在宅療養はまだまだ困難が多い現状だろうと思われる。そのような中、今回複数の病院のそれぞれの専門科、そしてリハビリテーション専門病院の連携で比較的長期に安定して在宅療養が継続できている症例を報告する。尚発表に関し本人・家族への説明・了承も得ている。【症例】60代女性。50代頃より脱力や歩きにくさなど感じていたがなかなか確定診断されなかった。最終的に他県でALSと確定診断され、進行抑制剤などの治療を受けながらも次第に病状が進行。その後嚥下機能の低下に対して県内病院の消化器科での胃瘻造設(定期交換も同院で実施)、また呼吸筋麻痺に対しては現在主治医の市中総合病院の呼吸器内科による人工呼吸器装着の導入など病状に合わせて対応されてきた。さらにリハビリテーション専門病院の当院からの訪問診療及び訪問リハビリテーションの他、訪問看護師等の支援で数年来安定して在宅療養が継続できている。本人も右足の趾の運動機能が残存しており、その機能を活かしてメールで会話したり症状を訴えたりすることが可能である。またテレビなどのチャンネル操作も自身で可能で、好きな番組をみることを楽しみにしている。【考察】多職種、多施設の協働及び病状に関する理解や情報共有、本人・家族との療養に関する要望に対しての調整などが良好に進められた。特に呼吸管理を主治医の呼吸器科医が担っている安心感と本人とのコミュニケーションが可能であること、リハ医の定期的な評価などが医療処置やリハ、ケアに関わる多職種の介入のし易さに影響していると考えた。