第6回日本在宅医療連合学会大会

Presentation information

ポスター

13-4:難病

一般演題(ポスター)難病2 ほか

Sun. Jul 21, 2024 1:00 PM - 1:30 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:矢崎 一雄(医療法人財団老蘇会静明館診療所)

1:10 PM - 1:15 PM

[P-2-113] 当院における神経難病患者のレスパイト入院の実際と意義
~機能強化型在宅支援診療所(単独型)がなせる多職種連携を通して~

*永島 由規1、山本 巻一1、琴岡 憲彦1、崔 承彦1、岩永 美貴子1、横田 千奈1 (1. 医療法人葡萄の木ぶどうの木クリニック)

【はじめに】
当院は2020年、佐賀県佐賀市に設立され訪問診療・外来・病棟・訪問看護ステーションが一体型となった単独型の機能強化型在宅療養支援診療所である。継続的な在宅介護を支援する為、当院ではレスパイト入院を取り入れている。現在までに71名が利用されており、神経難病患者の利用割合が28%と高かった。病状進行により状態が変化していくなかで、自院でのレスパイト入院により満足度の向上につながった症例を経験したので報告する。
【症例】
70歳代 男性 多系統萎縮症
現病歴:2020年6月下旬より自律神経の失調症状(起立性低血圧・排尿障害)が出現。神経疾患が疑われ大学病院紹介。精査及び経過観察されていたが、更なる病状の進行にて歩行障害が出現。2022年2月 上記診断
経過:同年2月5日から2月15日体動困難にて当院入院
2月21日から訪問診療開始
3月訪問看護開始(リハビリ)
5月当院へ初回レスパイト入院。独歩。ADL/排泄自立(自己導尿)
10月当院へ2回目のレスパイト入院 睡眠中の呼吸状態の悪化・食事中のムセに気付く、膀胱留置カテーテル挿入、退院後訪問看護追加(看護師定期訪問)
以後月1回ペースでレスパイト入院利用
2023年8月4日SpO2低下あり緊急往診、救急搬送にて当院入院、意識レベル低下
8月5日 永眠
【考察】神経難病患者は身体運動機能やADL低下の変化速度が速いケースが多いことから、在宅療養において患者にかかわる多職種間の情報共有や、臨機応変なプラン変更が必要となる。自院でのレスパイト入院によって、家族も我々も気づいていなかった食事中のムセの増加、睡眠中の呼吸状態悪化に気づくことができ、それによって食事形態の変更や評価をしながらきめ細やかなポジショニングの調整を行うことが出来た。また、患者本人や家族の意向を確認する十分な時間を取ることができ、スタッフ間で情報共有ができたことで家族の安心感に繋がった。