第6回日本在宅医療連合学会大会

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ポスター

15-1:緩和ケア

一般演題(ポスター)緩和ケア1

Sun. Jul 21, 2024 1:40 PM - 2:15 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:斉藤 康洋(GPクリニック自由が丘)

1:45 PM - 1:50 PM

[P-2-118] 在宅における脊髄損傷患者の神経障害性疼痛に対する薬物療法の検討

*熊井 惟志1、成瀬 佳子1、川村 享平2、姜 琪鎬1 (1. みどり訪問クリニック、2. 訪問看護ステーションRe:Life)

【目的】脊髄損傷患者は通院困難な状態で在宅医療を利用する患者が多く、神経障害性疼痛のコントロールにはしばしば難渋する。現在使用している鎮痛薬が神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン第2版と照らし合わせて適切か、改善できる点がないか検討した。
【方法】当院で担当する17名の脊髄損傷患者において、神経障害性疼痛の有無、使用している鎮痛薬およびその容量、疼痛コントロールが良好であるかをカルテ情報から調べた。当研究はカテゴリーⅣ-Bに該当するが倫理委員会による承認は受けていない。
【結果】9名が神経障害性疼痛を有し薬物治療を行っていた。プレガバリンが第一選択薬として全ての患者で使用されていたが、8名ではプレガバリンのみではコントロールが難しく他の薬剤を追加されていた。第二選択薬としてはデュロキセチン2名、アミトリプチリン1名、トラマドール2名で、アミトリプチリンとトラマドール2剤の追加も1名で行っていた。NSAIDs、アセトアミノフェンは頓服で使用されていた。
【考察】プレガバリンはガイドラインで第一選択薬だが至適容量は平均410mg/日とされており、至適容量に達していない例が多かった。デュロキセチン、アミトリプチリンはプレガバリンと並び第一選択薬とされているが、いずれの症例でもプレガバリンに追加する形で使用されていた。アミトリプチリンは特に脊髄損傷後の疼痛に有効だが、副作用があるため、デュロキセチンを選ぶことが多くなっていた。トラマドールは第二選択薬に位置付けられ、長期投与になる場合は慎重になるべきとされているが、副作用で他の薬剤が使えず使用する症例は多くなっていた。自験例を振り返り、まずはプレガバリンを410mg以上まで試し、次にデュロキセチンかアミトリプチリン、それでも疼痛がコントロールできない場合はトラマドールを検討するか、NSAIDsを試すのが適切であると思われた。