第6回日本在宅医療連合学会大会

Presentation information

ポスター

15-1:緩和ケア

一般演題(ポスター)緩和ケア1

Sun. Jul 21, 2024 1:40 PM - 2:15 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:斉藤 康洋(GPクリニック自由が丘)

2:05 PM - 2:10 PM

[P-2-122] 当院の末期がん患者における持続皮下注射実施率の変化について

*柳澤 克哉1、宮本 雄気1,2、板舛 笑果1、山下 歩1、西井 賢俊1、林 佑哉1、武藤 英貴1、藤谷 好紀1、能勢 悠介1、菅原 信行1、田中 裕子1、山田 寿美1、守上 佳樹1 (1. よしき往診クリニック、2. 京都府立医科大学 救急医療学教室)

【目的】 持続皮下注射(以下CSI)は簡便で患者への侵襲が少なく末期がん患者の症状緩和のための有用な選択肢となっている。一方でCSIは一定の専門的知識を必要とし機材やルートによって患者の行動範囲が狭まってしまう可能性がある。当院では2022年に携帯型ディスポーザブル注入ポンプを導入し複数名の緩和ケア認定医が入職したため、これらの問題点が克服された可能性がある。そこで2022年前後に注目し当院での末期がん患者におけるCSI実施率が異なるかを検証した。
【方法】 2018年1月から2023年12月までに当院にて在宅がん医療総合診療料(以下管理料)を算定した患者を対象とした。対象患者において年齢・性別・訪問診療開始日・管理料算定開始日・CSI実施の有無・CSI開始日・CSIに用いたデバイス・CSIの組成・酸素投与の有無・介護度・同居者の有無・ADL・認知症の有無・周辺症状の有無を後方視的に記述した。また2021年以前/2022年以降をダミー変数として年齢・性別・酸素投与の有無・介護度・同居者の有無・ADL・認知症の有無・周辺症状の有無を共変量としたロジスティック回帰分析を用い、上述のダミー変数がCSIの実施率に影響を与える因子となるか検証した。対象となる患者には個人情報の利用目的を書面で説明し同意を得た。
【結果】 対象患者は221人であり42人(19%)にCSIを実施した。CSIの実施率は2021年以前で148件中14件(9%)2022年以降で73件中28件(38%)であった。多変量ロジスティック回帰分析では2022年以降であることはCSI実施率上昇の有意な因子であった。
【考察】 本研究では緩和ケア認定医の入職や新規デバイスの導入がCSI実施率向上に寄与した可能性が示唆された。CSI実施率向上に伴い、患者アウトカムも合わせて改善したかについては今後さらなる検証が必要と考える。