第6回日本在宅医療連合学会大会

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ポスター

15-1:緩和ケア

一般演題(ポスター)緩和ケア2

Sun. Jul 21, 2024 2:25 PM - 2:55 PM ポスター会場3 (コンベンションホールA)

座長:岡山 容子(医療法人みのり会 おかやま在宅クリニック)

2:45 PM - 2:50 PM

[P-2-128] 末期腎不全に対して保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)を選択し最期まで在宅療養を行った患者を振り返る

*長田 直美1 (1. 桜新町アーバンクリニック)

【はじめに】透析患者は年々増加している。それに伴い透析を行いながら人生を終える患者だけでなく、透析を選択しない患者や透析の中止を人生の最終段階で選択する患者も増えている。我が国において末期腎不全は緩和ケア病棟の適応疾患ではなく、最期の療養場所として多くの患者は病院を選択せざるを得ない。今回、CKMを選択した患者の在宅療養から在宅看取りまでを訪問看護を通して振り返り、最期まで在宅療養が継続できた要因を考察した。
【症例】75歳男性。2016年3月に慢性腎臓病の診断を受け、大学病院腎臓内科外来に通院していた。本人はその後に透析を導入しないことを希望し、病院医と繰り返し話し合いCKMを選択した。病院医は今後の療養生活を考え、訪問診療を提案し、2023年5月に導入となる。ただし8月末に痙攣発作で緊急入院。2週間で退院できたものの、日常生活のサポートを必要とし訪問看護が9月に導入となる。以降、腎機能の悪化に伴い悪心・嘔吐などの尿毒症症状、抗けいれん薬による薬疹、尿閉、誤嚥性肺炎など様々な症状を合併し、そして12月に永眠された。
【考察】CKMを選択した患者が、在宅療養を継続できた要因として、症状緩和を行った事、主治医と共に本人と家族へ繰り返しACPを行った事、日常生活のサポートを行った事、患者と家族の情緒的支援をしたことが挙げられる。末期腎不全では様々な苦痛症状が出現し身体機能の低下に繋がるが、これらの看護介入により、自宅で妻と過ごしたいという患者の希望を支援し、住み慣れた自宅で最期まで療養することができたと考える。