一般社団法人 日本LD学会 第25回大会(東京)

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[JH9] 通級指導教室における読解低成績の背景と支援

Sun. Nov 20, 2016 3:00 PM - 4:30 PM 411 (Conference Center4F)

企画者:成田まい(東京学芸大学),司会者:後藤隆章(常葉大学),話題提供者:佐藤一葉(鶴岡市立鶴岡第三中学校),話題提供者:成田まい(東京学芸大学),話題提供者:小池敏英(東京学芸大学),指定討論者:澤隆史(東京学芸大学),指定討論者:宮尾益知(どんぐり発達クリニック)

3:00 PM - 4:30 PM

[JH9] 通級指導教室における読解低成績の背景と支援

成田まい1, 後藤隆章2, 佐藤一葉3, 小池敏英1, 澤隆史1, 宮尾益知4 (1.東京学芸大学, 2.常葉大学, 3.鶴岡市立鶴岡第三中学校, 4.どんぐり発達クリニック)

【企画の趣旨】小学校通級指導教室における指導内容のひとつとして、読解指導が取り上げられることが多い。読解の中でも要点の読み取り(以下、要点理解)は、文部科学省の学習面の困難に関するチェックリストにおいても、チェックすべき項目のひとつとされている。しかし、通級指導教室を利用している児童の読解を評価する手続きについては、十分明らかにされていない。読解は、通常、複数段落の長文文章により指導が行われる。複数段落の文章課題による評価や指導は、実施に時間がかかるため、学習支援に関する児童の情報が十分でないことを指摘できる。この点について、小学生の読解の発達を、Kintschら (1978)の「統合構築モデル」に基づき検討した研究が報告され、新たな知見がもたらされた。石渡・邑本(2011)は、小学4・5年生を対象にして、単段落短文と複数段落長文について検討した結果、単段落単文におけるマクロ処理スキルの機能レベルは、複数段落の要点理解の成績に強く関係し、ワーキングメモリ(WM)の影響は比較的小さいことを報告した。このことは、通級指導教室を利用する児童の要点理解を促すうえで、単段落短文のマクロ処理の機能レベルの促進が効果的であることを意味している。単段落短文の読解課題であるため、評価と指導の実施が容易であることを指摘できる。本シンポジウムでは、単段落短文のマクロ処理に基づくアプローチを、通常学級の読解低成績に適用した知見を述べ、それとの比較の中で、通級指導教室を利用している児童の読解の特徴と支援の方策について論じる。
注:統合構築モデル:このモデルは、文章理解の過程を、文中に書かれている情報の理解(テキストベース)から自分の知識と統合した全体的理解(状況ベース)へ向かう横軸と、文章の局所的な理解(ミクロ処理)から全体的な理解(マクロ処理)へ向かう縦軸で説明したものである。複数の下位命題を上位命題にまとめ上げる作業をマクロ処理と呼ぶ。

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