一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R1: 鉱物記載・分析評価

2019年9月22日(日) 14:00 〜 15:00 大講義室 Ia (大講義室)

座長:坂野 靖行

14:45 〜 15:00

[R1-13] 京都府和束町石寺産ネバダ石

*白勢 洋平1、延寿 里美3、鶴田 憲次4、下林 典正2 (1. 京大・博物館、2. 京大・院理、3. 立命館大、4. 京都芸大)

キーワード:ネバダ石、燐酸塩鉱物、不明鉱物、熱水変質作用、石寺

京都府和束町石寺に分布する石英脈中から世界で三番目となるネバダ石を見出したので,その鉱物学的特徴を報告する。ネバダ石は燐灰石の変質部の空洞中に,無色の不明鉱物,単斜鱗鉄鉱,ストレング石,石膏,白雲母を伴い産出する。ネバダ石は水色の直径0.1 mm程度の球-膜状の集合である。XRD実験の結果,石寺産ネバダ石は,a = 12.152(4) Å,b = 19.068(7) Å,c = 4.964(2) Å,V = 1150.1(5) Å3となった。EPMAを用いた化学分析の結果,(Cu3.062.94)Σ6.00Al7.96(PO4)4.00 [PO3(OH)]4.00[F4.95,(OH)3.05)]Σ8.00(OH)2・16.41 (H2O)の平均値で表すことができた。これまでの報告例と異なり,バナジウムが一切含まれず,六配位のM席の三価の陽イオンを二価の銅が置き換えていると考えられる。理想化学式(Cu33)Al8(PO4)4[PO3(OH)]4 [F,(OH)]8(OH)2・n(H2O)の,ネバダ石のCu置換体と考えることもできる。フッ素燐灰石が分解し,アルミニウムに富む溶液と反応して形成されたと考えられる。