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[R1P-02] 岡山県柵原鉱山に産する磁鉄鉱の磁気特性および微細組織と組成
キーワード:磁鉄鉱、保磁力、シリコン置換、連晶組織
岡山県柵原鉱山産磁鉄鉱3試料について,SQUID磁束計を用いた磁化測定,EPMAによる化学分析,メスバウアー分光法による分析を行った。試料は鉄のクリップを引きつけるなど,明らかに磁石としての性質を有しているが,その保持力は“天然磁石”として知られる試料に較べるとずっと低い。組成的にはSi含有量が多い(SiO2 <4.34wt%)ことが特徴的で,ミクロンオーダーでのSi含有量の多寡による複雑な微細組織が認められる。メスバウアー分光法では一部に酸化が示唆されるデータが得られたものの,反射顕微鏡による観察でもEPMAによる分析でも低温酸化によってできるとされる酸化鉄(赤鉄鉱,磁赤鉄鉱)は認められなかった。柵原鉱山産磁鉄鉱の持つ高い保磁力は二次的な低温酸化によるものではなく,初生的な組成・組織が原因であると考えられる。