R1: 鉱物記載・分析評価

[R1P-13] 福岡県長垂山のコルンブ石族鉱物

*伊東 信¹、上原 誠一郎²、白勢 洋平³ (1. 福岡県立糸島高、2. 九大・理・地惑、3. 京大)

キーワード：コルンブ石族鉱物、長垂山

福岡県長垂山のLiペグマタイトは，古くから記載鉱物学的研究 (柴田，1934など)がなされてきたが、Liペグマタイトの周囲の複合ペグマタイト中の希元素鉱物について十分な鉱物学的研究は行われていない。本研究では，長垂山のペグマタイト露頭中の希元素鉱物の産状調査を行った。さらに，Li鉱石貯鉱場跡から産したコルンブ石族鉱物とともに，化学組成を分析し，分化の傾向について検討を行った。
化学分析の結果，周囲の複合ペグマタイトから産した試料からは、鉄コルンブ石，マンガンコルンブ石，鉄タンタル石が確認された。結晶のコアの部分は鉄コルンブ石組成の物が多く，Mnの濃度はLiペグマタイトから産したものと比較して高くならない。一方，Liペグマタイトから産した試料からは，マンガンコルンブ石，鉄コルンブ石，マンガンタンタル石が確認された。結晶のコアはマンガンコルンブ石組成の物が多く，Mn/(Mn+Fe)の値がTa/(Ta+Nb)と比較して大きく増加する傾向が見られた。この傾向はFに富む岩体に産するコルンブ石族鉱物に見られる(Černý et al. 1986)ことから、長垂のLiペグマタイトもFに富むと考えられる。