一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2: 結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2019年9月20日(金) 09:15 〜 12:00 大講義室 Ia (大講義室)

座長:徳田 誠、興野 純、中村 友梨江

10:45 〜 11:00

[R2-07] Mn3-xFexO4固溶体の高圧下での電荷移動と磁気構造変化
(半導体—金属転移 磁気構造転移と結晶構造転移の圧力効果)

*山中 高光1、服部 高典2、小松 一生3、中本 有紀4、ラマン サキブ1、ワン リン1、マオ ホークァン1、平尾 尚久5 (1. 北京高圧科学研究中心、2. 日本原子力研究開発機構 J-PARC 物質・生命科学実験施設、3. 東京大学大学院理学研究科 地殻科学研究センター、4. 大阪大学大学院基礎工学研究科附属極限科学センター、5. 理科学研究所 大型加速器機構)

キーワード:Mn3-xFexO4 固溶体、高圧実験、電荷移動、磁気構造転移、中性子回折実験

遷移元素を含む酸化物スピネル(Zn, Ti, Mn, Cr….)xFe2-xO4は、典型的な強磁性地殻鉱物であり、また最も基本的な磁性体材料でもある。本実験ではMn3-xFexO4固溶体について高圧放射光回折実験を行なったが、原子散乱能がMn(25), Fe(26)で差が無く、陽イオン分布の決定は困難である。中性子回折実験では散乱断面積がMn(-3.73fm), Fe(9.54fm)であり大きな差があり、正確な解析ができ、J-PARCで高圧中性子回折実験を行った。また高圧電気伝導度測定実験、高圧メスバウアー実験も行なった。post-spinel相への転移圧はMnO4組成の固溶度と共に減少し、ferri-mag からantiferro-magに転移する磁気転移圧は構造転移圧より低い。電気伝導機構はelectron hoppingで、高圧相のpost-spinelは30GPa以上では金属的な伝導度を示す。磁気構造解析から陽イオンのsite occupancyが加圧に伴って著しく変化すること、Mn3+による八配位席でのJahn-Teller 効果は加圧により減少し、消滅する事が明らかになった。