一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2: 結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2019年9月20日(金) 14:00 〜 15:30 大講義室 Ia (大講義室)

座長:則竹 史哉、栗林 貴弘

14:00 〜 14:15

[R2-12] 異極鉱高圧相における超周期構造のその場観察

「発表賞エントリー」

*岡本 啓太郎1、栗林 貴弘1、長瀬 敏郎2 (1. 東北大・院理、2. 東北大・総学博)

キーワード:異極鉱、圧力誘起相転移、二次構造単位、衛星反射

高圧下の異極鉱に対し、放射光線源を用いたその場観察単結晶X線回折実験を行い、低温相(Libowitzky et al., 1998)で観測されるような超周期構造の有無を調べた。その結果、二次構造単位(SBU)の回転に起因する圧力誘起相転移(Seryotki & Bakakin, 2011)が3.01GPa以上の圧力で観測された。この時に出現する、体心格子の消滅測を破る反射は、b*軸方向に8倍周期の衛星反射を伴っていた。衛星反射は主反射と比べて強度の圧力依存性が低いため、SBUの回転以外の影響を受けている。一方で、主反射のみによる構造解析から得られた異方性温度因子を常圧時のものと比べると、SBU自体を歪ませる方向の成分が増大している。従って異極鉱高圧相の超周期構造は、SBU内部の多面体間結合角がb軸に沿って揺らぐことで生じると考えられる。