一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2: 結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2019年9月20日(金) 14:00 〜 15:30 大講義室 Ia (大講義室)

座長:則竹 史哉、栗林 貴弘

15:00 〜 15:15

[R2-16] ナミビア産ラブンツォフ石の細孔内におけるイオン分布

*中村 友梨江1、杉山 和正1、長瀬 敏郎2 (1. 東北大・金研、2. 東北大・博物館)

キーワード:ラブンツォフ石、チタノシリケート

ラブンツォフ石グループの鉱物は結晶構造中に細孔が存在するチタノシリケートであり,単斜晶系(空間群C2/m, Cm)または直方晶系(空間群Pbam)の対称性を示す(Chukanov et al. 2002).また一部のラブンツォフ石ではI2/m対称性を示すものが報告されており,このようなラブンツォフ石の格子定数は軸の長さが2倍となっているほか,X線回折強度に散漫散乱が観測されている.Armbruster et al. (2004) はI2/m対称性を示すラブンツォフ石についてBaなど細孔内イオンの秩序配列が2倍周期の超構造を形成すると議論した. 今回,Labuntsovite-Mn端成分に近い組成をもつナミビア産ラブンツォフ石の細孔内における陽イオンの分布を調べた.単結晶X線回折実験において回折強度に散漫散乱は観測されなかった.強度分布は空間群C2/mの対称性を示し,格子定数はa = 14.4109 Å, b = 13.9182 Å, c = 7.8214 Å, β = 117.043°が得られた.今回の試料はDサイトが二価の陽イオンで100%占有されているために超構造をもたないと考えられる.