一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

ポスター

R2: 結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2019年9月20日(金) 09:30 〜 17:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 17:00

[R2P-08] 土橋セリサイトに含まれるX線回折で見えない鉱物

*武内 浩一1、木須 一正2、上原 誠一郎3、桑原 義博4、大和田 朗5、武部 将治6 (1. 無所属、2. 長崎県窯業技術センター、3. 九大・院理、4. 九大・比文、5. 産総研、6. 土橋鉱山)

キーワード:セリサイト、AFM、TEM、非晶質

土橋セリサイトは岡山県備前市の土橋鉱山から産出し、陶磁器原料に利用されている。特長は可塑性に富むことであるが、カリ成分が少ない現象が認められたので、原因を明らかにするため、個々の鉱物粒子の観察を行った。

試料はセリサイトの純度が高い「高品位鉱」である。乾式研磨法で薄片を作製し偏光顕微鏡観察を、蛍光X線分析装置で化学分析を、粉末X線回折(XRD)で構成鉱物の同定を行った。超音波分散で懸濁液を作製して原子間力顕微鏡(AFM)観察を、原鉱をめのう乳鉢で粉砕して透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。

化学分析では日本粘土学会参考試料に比べてK20が約2%少なかった。この試料のXRD測定では、セリサイト以外の回折ピークは認められなかった。AFM像では不定形で歪な板状粒子が多く、成長ステップ模様の形状もcircular状が多い。平均粒子厚さは20-60nmであった。TEM観察では薄板状のセリサイトだけでなく、100nm以下の粒状物質が多く存在している。これらの粒子はSiとAlを含んでいるが詳細な化学組成は不明である。この粒状物質がXRDで検出できない鉱物の可能性がある。