一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R3: 高圧科学・地球深部

2019年9月22日(日) 09:45 〜 12:00 大講義室 Ib (大講義室)

座長:川添 貴章、大藤 弘明

10:00 〜 10:15

[R3-02] 高圧力下における含水非晶質ナトリウム珪酸塩の構造

「発表賞エントリー」

*大橋 智典1、坂巻 竜也1、舟越 賢一2、服部 高典3、佐野(古川) 亜沙美3、村主 樹1、市東 力4、池田 理1、伊東 義章1、柴﨑 裕樹5、鈴木 昭夫1 (1. 東北大・院理、2. CROSS、3. 原研、4. 東大・院理、5. 物材研)

キーワード:珪酸塩融体、水、非晶質構造、高圧高温

高圧下におけるマグマの振る舞いはマグマの物理化学的な性質によって支配されており、特に水は密度や粘度といったマグマの物性に多大な影響を及ぼす。このようなマグマの物性はその構造によって理解されるため、圧力起因の構造変化を調べることは興味深い。そこで、中性子回折(ND)法および放射光X線回折(XRD)法によって含水ナトリウム珪酸塩ガラス・メルトの(高温)高圧その場構造解析を行った。
 出発試料には、無水Na2O-8/3SiO2(NS8/3)ガラスに重水・軽水を加えたものを用いた。XRD実験は高エネルギー加速器研究機構のPF-AR NE5Cで、ND実験はJ-PARCのBL11 PLANETで実施した。
 試料から得られた全構造因子S(Q) では、XRD, NDのいずれにおいても圧力増加に伴い第一ピークが高Q側へシフトしており、珪酸塩ネットワーク構造の収縮を示していた。全二体分布関数G(r) においては、含水量の違いによってSi-O結合長やその圧縮挙動が異なっていた。含水量に依存した珪酸塩融体のネットワーク構造の違いがSiO4四面体の大きさや圧縮挙動に影響を及ぼす可能性がある。