一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R3: 高圧科学・地球深部

2019年9月22日(日) 09:45 〜 12:00 大講義室 Ib (大講義室)

座長:川添 貴章、大藤 弘明

10:45 〜 11:00

[R3-05] Mg2SiO4ワズレアイトの高温熱容量測定

*糀谷 浩1、恒川 有希1、赤荻 正樹1 (1. 学習院大・理)

キーワード:ワズレアイト、熱容量、DSC、熱弾性パラメータ、格子振動モデル計算

Mg2SiO4ワズレアイトはマントル遷移層における主要構成鉱物である。高圧相であるMg2SiO4リングウッダイトとの相対的なギブスエネルギー関係の観点から、Mg2SiO4ワズレアイトの高温定圧熱容量の再決定が必要となっていた。そこで、本研究では高圧合成によるMg2SiO4ワズレアイトについてDSC法を用いて300~820 Kの温度範囲において10 Kの間隔で定圧熱容量の測定を行った。新たに測定された定圧熱容量は、従来のものよりも2~5%大きい結果が得られた。このことより、従来のワズレアイトの高温定圧熱容量が過小に評価されていたことが実験的に示された。さらに、デバイの関係式による熱膨張率の計算と、高圧実験により決定されたP-V-TデータへのBirch-Murnaghan状態方程式の最小二乗フィットを組み合わせた繰り返し計算により熱弾性パラメータを最適化し、格子振動モデル計算により測定の温度範囲を超える高温側への外挿を行った。本研究による測定および計算による定圧熱容量の非常に良い一致は、高温外挿値の信頼性が高いことを示唆している。