一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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R3: 高圧科学・地球深部

2019年9月22日(日) 09:30 〜 15:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 15:00

[R3P-02] 高圧下における含水鉱物と鉄の反応速度

「発表賞エントリー」

*畑山 達郎1、西 真之1、入舩 徹男1 (1. 愛媛大学・GRC)

キーワード:核マントル境界、地震波超低速度領域、ウスタイト、原子拡散

近年の研究により超高温高圧条件下で熱力学的に安定な含水鉱物が複数発見され、核マントル境界までの水輸送の可能性が示唆された。高温高圧下での含水鉱物と核の構成物質である鉄の相互作用は、水の循環だけでなく地球内部構造とその進化への知見となる可能性がある。しかしながら、含水鉱物と鉄の相互作用が地質学的時間スケールにおいてどの程度の空間的規模で進行するかの情報は得られていない。
本研究の目的は、高温高圧下における含水鉱物-鉄の反応の機構と速度を実験により解明し、核マントル境界における水と鉄の挙動を議論することである。出発物質の含水鉱物とFeを金のカプセル内に重ねて配置し、マルチアンビルを用いて25 GPa・
1050 ~1380 Kの条件で加熱した。含水鉱物と鉄の間にFeOを含む反応帯が形成された。反応帯の幅は、酸素と水素の拡散により律速されて成長することが示された。本実験の温度依存性から、核マントル境界の熱境界層において数十キロメートル規模のFeOの生成反応が可能であることが示された。この結果は、もし核マントル境界に水が存在した場合、水成分が鉄に吸収され、FeOに富む鉱物が形成されることを示唆する。