一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

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R4: 地球表層・環境・生命

2019年9月21日(土) 09:30 〜 17:00 A-プレゼンスペース (イースト1号館)

09:30 〜 17:00

[R4P-01] 地下深部花崗岩内生物圏の鉱物学的特徴

「発表賞エントリー」

*高橋 玄1、鈴木 庸平1、砂村 倫成1、小暮 敏博1 (1. 東京大学・院理)

キーワード:花崗岩、微生物、粘土鉱物、硫酸還元、DNA

日本原子力研究開発機構瑞浪超深地層研究所の深部花崗岩内に形成された割れ目中の地下水には、ANME-2dを主要な構成種とする微生物生態系が存在し、マグマ由来のメタンを硫酸還元していると考えられている。しかし、地下水中の硫酸濃度は微生物の硫酸還元が可能な条件より低く、深部花崗岩内が如何にして微生物の生息しうる環境条件となっているかは未だ不明である。深部花崗岩内の局所的な環境が、微生物の生存に如何に寄与するかを考察するため、深度300mの花崗岩コアサンプルから、地下水によって変質した部分を取り出し、その表面や微小空間の微細な鉱物を観察した。複数種の電子顕微鏡(SEM, TEM, STEM)を併用した解析の結果、様々な産状の方解石や粘土鉱物に埋もれた微小な黄鉄鉱が見つかり、これらは微生物のメタン酸化と硫酸還元から生ずる重炭酸イオンや硫化水素から生成した可能性がある。花崗岩変質部内で鉱物と生物が直接関わる領域を捜索するためSYBR Green I により岩石薄片を染色し蛍光顕微鏡による解析を行った結果、変質した斜長石内や、変質した割目面を覆う暗緑色の粘土鉱物中にDNAの濃集が観察された。