一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R5: 地球外物質

2019年9月20日(金) 09:15 〜 12:00 大講義室 Ib (大講義室)

座長:中村 智樹、瀬戸 雄介

09:15 〜 09:30

[R5-01] CMコンドライトParis中エンスタタイトウィスカーの放射光ナノXCTおよびTEMによる分析

*安武 正展1、Vacarro Epifanio2、上杉 健太郎3、竹内 晃久3、中野 司4、𡈽山 明1,5 (1. 立命館大学、2. ロンドン自然史博物館、3. SPring-8、4. GSJ/AIST、5. 中国科学院広州地球科学研究所)

キーワード:始原的コンドライト、CMコンドライト、エンスタタイトウィスカー、放射光X線CT

Paris始原的CMコンドライト中のコンドリュールを取り囲む多孔質マトリックスを観察した。放射光XCTによる3次元観察の結果、マトリックスは均質に多孔質であり、一方向に著しく伸長した繊維状構成物を含むことが分かった。この繊維状構成物のうち最大のもの(幅約250 nm、長さ約5 µm)は、エンスタタイトであることが推定された。この繊維状エンスタタイトをTEMで分析した結果、この結晶は[100]方向に伸長しており、(010)面に多数の積層結果を含むことが分かった。この特徴はCP-IDPs中に産する凝縮物と考えられているエンスタタイトウィスカーと同様のものである。一方、このエンスタタイトはCP-IDPs中のものと異なり、[100]方向のらせん転位は見いだせなかった。また、その形状は湾曲しており、一部には破断面が存在する。これらは母天体過程もしくは集積過程によるものであると考えられる。これらの結果から、本研究で見出したエンスタタイトも同様に凝縮物であり、少なくとも一定数のエンスタタイトウィスカーがコンドライト母天体に集積されていたことが推定される。