一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R5: 地球外物質

2019年9月20日(金) 09:15 〜 12:00 大講義室 Ib (大講義室)

座長:中村 智樹、瀬戸 雄介

11:00 〜 11:15

[R5-08] 含水炭素質隕石へのHe照射によるC型小惑星の宇宙風化再現実験

*中村 智樹1、Lantz Cateline2、小林 詩歩1、仲内 悠祐3、天野 香菜1、Brurnetto Rosario2、松本 恵1、高橋 実樹1、松岡 萌3、野口 高明4、松本 徹1、三宅 亮5、土山 明6、Zolensky Mike7 (1. 東北大・院理、2. IAS, Univ of Paris Sud、3. 宇宙科学研究所、4. 九州大学・院理、5. 京都大学・院理、6. 立命館大学、7. NASA/JSC)

キーワード:宇宙風化作用

小惑星探査機はやぶさ2の観測により、C型小惑星Ryuguの表面は大変暗い物質であるが、暗い中で少し青い物質と赤い物質があることが分かった。青い物質赤い物質の分布状態から、青い物質がRyugu本来の物質あり、この物質が太陽風He照射による宇宙風化により変成することにより赤い物質が形成されたと考えられる。

 一方、過去の含水炭素質隕石への宇宙風化の模擬実験では、Heを照射することにより赤い物質が青い物質に変化することが確認されている(Lantz et al. 2017, 2018)。したがって、実際のRyugu表面で観測される宇宙風化作用によるスペクトル変化とHe照射実験で起こるスペクトルの変化が全く逆向きである。この不一致はC型小惑星の宇宙風化作用は、現状我々が理解しているよりも複雑な現象であることを意味している。

 我々はこれまでの過去のHe照射では検討されていない、含水炭素質隕石の物性(空隙率)や照射するHeエネルギーのスペクトル変化に対する依存性を調べた。その結果、He照射による色変化は、条件により赤→青になったり、青→赤になることが分かった。